IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>79.東京都中小企業振興公社(下) 「必ず結論を出す」

2012/05/31 16:04

週刊BCN 2012年05月28日vol.1433掲載

 公益財団法人の東京都中小企業振興公社が運営する「ワンストップ総合相談窓口」で、ITコーディネータ(ITC)として地域の企業の相談に応じる岩岡博徳氏。そのアドバイスを求めて窓口を訪れる企業は、「ネットショップを立ち上げたい」という小売事業者や、「オンラインの会社案内をつくりたい」という製造事業者が大半を占めるが、なかにはIT企業もいるそうだ。

 「相談に来られるIT系の企業としては、例えば、ビジネスモデルの転換に取り組んでいる受託ソフト開発のベンダーがある」(岩岡ITC)と話す。ソフトウェア開発の依頼先はここ数年、海外諸国にシフトしつつあり、国内のとくに中小規模の受託開発事業者は、新しいビジネスを開拓するなど、事業の再編が喫緊の課題となっている。こうした時代の変化を、岩岡ITCは窓口での活動を通じて肌で感じているという。

 都内に本社を置き、ストレージ技術に強いある受託開発事業者は、3か月に一回の割合で岩岡ITCに相談を持ちかけている。その会社は、現時点ではまだ従来型のビジネスが好調だが、受託開発の市場を取り巻く環境が厳しく、中期的に案件の数が減るのは確実とみて、「今のうちに、自社開発のサービスを強化し、次の事業を早めに立ち上げたい」と考えている。具体的には、ストレージサービスの提供にあたってどのように他社との差異化を図るかに関して、岩岡ITCの力を借りている。

 岩岡ITCは、その企業に対し、「サービスの価格を抑えながら、テラバイト単位の大容量に対応し、セキュリティを強化すること」を、売りのポイントとして提案している。企業は現在、岩岡ITCのアドバイスを受けてサービスの仕組みの開発を進めており、例えば「大容量」など、サービスの特徴を特設サイトでユーザー企業に訴求している。

 「相談の最後には、必ず結論を出す」。岩岡ITCは、短時間の相談であって、ユーザー企業が満足感を得ることができるよう、課題の解決案を提示することを原則としている。「東京都中小企業振興公社の相談窓口での活動は、自分のなかであらゆるITC事例が蓄積され、ITCとしての次の仕事に活用することできる」と、この活動のやり甲斐を語る。(ゼンフ ミシャ)

相談の最後は課題の解決案を提示
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