IBMが拓く第三世代のコンピューティング時代

<IBMが拓く第三世代のコンピューティング時代>最終回 PureSystems後の追加エンハンス ビッグデータとクラウドが鍵

2012/05/10 20:29

週刊BCN 2012年05月07日vol.1430掲載

 米IBM(ジニー・ロメッティCEO)が4月11日(日本時間12日)に世界6か国で同時発表した「エキスパート・インテグレーテッド・システム」は、新分野のコンピューティング・システムとして衝撃を与えた。ただ、2月下旬の自社イベント「PartnerWorld Leadership Conference 2012(PWLC)」を見る限り、同社が掲げる「第三世代コンピューティング」の実現に向けたエンハンス(製品・機能の拡張・追加)は、これにとどまらないはずだ。

イベントを最も沸かせた技術責任者のジェフ・ジョナス・チーフサイエンティスト
 世界のビジネス・パートナー(BP)が集まる今年のPWLCで、最も会場を沸かせたのが、ビッグデータやアナリティクス関連を含めた技術責任者のジェフ・ジョナス・チーフサイエンティストだ。大量のパズルのピースを自分の家族で組んでいくシーンを例にとって、ビッグデータを解析する仕組みを解説した。

 そのなかの発言で、参加者の笑いを誘ったのが、アップルの故スティーブ・ジョブズCEOを題材にしたシーンだ。「彼の行動を分析すれば、夕方の5時35分にどこにいるかを87%の確率で予測できる」(ジョナス・チーフサイエンティスト)。この分析(アナリティックス)には、2010年9月に買収したデータウェアハウスの「Netezza(ネティーザ)」を使えば可能だ、としたうえで、「ビジネス情報から迅速に洞察を得ることができ、予測精度の高いアナリティクスが実現する」(同)と、製品アピールもつけ加えてネティーザがIBMの第三世代を支える有力ツールであることを印象づけた。

 IBM製品の追加エンハンスについては、システム&テクノロジーグループのロッド・アトキンス上級副社長が、三つのヒントをくれた。(1)データのためのデザイン、(2)クラウド管理、(3)タスクのチューンだ。

 (1)は、ネティーザや統計解析ソフトウェア「IBM SPSS Statistics」などを組み合わせて最短で必要な回答を導き出す解析を行うことを指す。(2)はクラウドの複雑な基盤管理を簡略化するPaaSソリューションなどの提供を拡充することを意味する。そして、今回発表した「IBM PureSystems」が(3)の領域を担う製品としてローンチした。この三つを核とする追加エンハンスが予想されるのだ。

 このたび発表したばかりの「IBM PureSystems」だが、ソフトウェアグループの責任者、ビュエル・ダンカン氏は、「BPに対し製品を拡充するだけでなく、必要なスキルセットを提供する」と発言しており、追加エンハンスに伴うBP支援も格段に強化が進むことを匂わせた。(おわり)(谷畑良胤)
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外部リンク

米IBM=http://www.ibm.com/us/en/

日本IBM=http://www.ibm.com/jp/ja/