視点

画面サイズの意味を熟慮せよ

2012/04/26 16:41

週刊BCN 2012年04月23日vol.1429掲載

 iPhoneの爆発的なヒットによって一般的となった今日のスマートフォンでは、iPhoneの3.5インチに始まり、画面サイズが次第に大型化するトレンドが生まれている。そんななかでサムスンのGalaxy Noteが発売された。画面サイズ5インチという大型端末は、薄型きょう体に実装することによって、「Note」というネーミングが恥ずかしくないほどの秀逸な端末に仕上がっている。紙ノートのブロックロディアを使っている人ならば、ペン入力も可能なこの端末は、既存の紙ノートをリプレースするに十分な画面サイズ、重さ、使い勝手であるといえよう。また、5インチという大きさだからこそ、ペンでの入力も紙に書くような快適な書き心地を実現しており、ビジネスで活用するシーンも容易に想起できる仕上がりである。

 一方、2月にバルセロナで開催されたMobile World Congressでよく見かけたのが7インチサイズのタブレットだ。今年の新製品は、7インチサイズの薄型端末が勢揃いしている。7インチタブは、ビジネススーツの胸ポケットにも入るし、ズボンのポケットにも入る大きさなのだ。移動する際にも邪魔にならない大きさは非常に大きな魅力に映るが、一方でパソコンとして使うのか、スマートフォンとして使うのかが曖昧な画面サイズであるがゆえに使い方の具体的な提案がなされてこなかったことが玉に瑕である。

 筆者が講演でよく言及するのが、こうした5~7インチの画面サイズのスマートデバイスこそが、企業活動でPCが届いていない市場への普及の起爆材になるということだ。現時点ではそのようなデバイスが少なく、使い方が提案されていないので、いわばブルーオーシャンとなっている。あとは誰も気づいていない潜在ニーズとプロダクトを結びつける努力あるのみである。

 その意味で、最も重要なことは、画面サイズ別の利用業務の探り当てと、それに応じた業務別に最適化されたアプリケーションの実装だ。業務によっては、移動しながら画面を見る、お客様に画面を見せる、高精細な写真を出先で見る、簡単な入力報告を行うといったニーズがある。リテラシーも高い人たちだけではない。このニーズに対応して業務別にアプリケーションをプリセットして、限られた職種、モバイルワークを行う職種の企業に導入を提案するのだ。PCが浸透していないこの職種の人々こそ、エンタープライズモバイルのフロンティア領域なのである。
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