シャープが先導する「グリーン調達」 それを支えるeBASEのフリーミアム
<シャープが先導する「グリーン調達」>第3回 化学物質情報収集のSCM GREEN eBASEで高いレベルのグリーン調達
2012/04/19 20:29
週刊BCN 2012年04月16日vol.1428掲載
そのような課題を克服するためにも、含有化学物質のサプライチェーンマネジメント(SCM)に必要な新しいシステムが求められている。シャープは、このSCM構築に向けて、ある方針を掲げていた。それが、清水正雄・環境安全本部グリーンプロダクト企画推進部長の言う「サプライヤーの視点に立ち、サプライヤーのための、サプライヤーとともに推進する化学物質管理」だ。
これを実現するためにシャープは、データベース(DB)ベンダーのeBASEをパートナーに選んだ。eBASEの製品である含有化学物質情報管理DBシステム「GREEN eBASE」を採用し、独自システムを構築。直接取引がない2次取引先以降にも参加を呼びかけ、eBASE提供の無償ソフトウェア「eBASEjr」をサプライヤーに配布するなどして、素材段階からのデータ把握を開始した。
正確で効率的に化学物質情報を管理するには、川上の化学関連企業、川中、川下の部品関連企業が、シャープに対して情報提供を行う必要がある。「GREEN eBASE」は化学物質情報の証憑を収集し、管理、提供することができる。共通のSCM基盤としても利用できるDBで、「eBASEjr」を利用して発信したサプライヤーからの情報を簡単に管理できる。
シャープとeBASEの両社の協力で、情報収集のシステム構築に加え、サプライヤーが実践すべき事柄を周知徹底するポータルサイト「GREEN Cloud Concierge Counter(GCCC)」が完成した。シャープのSCM構築の方針に基づいたものだが、窪田勝康取締役は一連のシステムを「道路を走るクルマ(「eBASEjr」)を提供し、運転するドライバーを育成する教習所(GCCC)を提供したようなもの」とたとえる。シャープの清水部長が「『GREEN eBASE』があれば、目標とするSCMの実現に近づけることができる」と言うように、EUなどの規制に従うためには、レベルの高いシステムを構築する必要がある。(谷畑良胤)
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