IBMが拓く第三世代のコンピューティング時代

<IBMが拓く第三世代のコンピューティング時代>第3回 融合販売で得する新報償制度 IBM製品にIBM製品を付加せよ

2012/04/19 20:29

週刊BCN 2012年04月16日vol.1428掲載

システム&テクノロジーグループのロッド・アトキンス上級副社長
ソフトとシステムを統括するスティーブ・ミルズ上級副社長
 米IBM(ジニー・ロメッティCEO)が2月下旬に米ニューオーリンズで開催した「PartnerWorld Leadership Conference 2012(PWLC)」では、世界のビジネス・パートナー(BP)に適用する新インセンティブ(報償金)プログラムが発表された。ハードウェアとソフトウェアを融合販売したBPに対し、キャシュバックする。これにより、IBMのプロダクトを顧客1件当たりにより多く販売することを促す。

 新しいインセンティブプログラムの名称は「IBM Solution Accelerator Incentive」。IBM社内では“Blue on Blue”のコードネーム名で検討を進めていたプログラムだ。IBMの企業カラーの“Blue”をIBM製品に見立てて、IBM製品の上にIBM製品を追加することを意味する。

 新プログラムを開始する理由について、ソフトとシステムを統括するスティーブ・ミルズ上級副社長は、参加者を前にして、「業界に精通したBPにある知識を生かし、顧客価値を最大化するためのシステムを提供してもらうのが目的だ」と述べた。

 この発言の背景には、BPを取り巻く事情がある。BPのなかには、ソフトを中心に販売するベンダーとハード主体に提供するベンダーが多く存在している。IBMとしては、クラウド環境やビジネスアナリティクスなどを含め、同社製品を統合的に提供することで、顧客価値を向上することができると考えている。ソフトやハードに偏った販売をするBPの存在に頭を悩ませていたためだ。

 それだけではない。ハード中心のBPとソフト主体のBPのマッチングを加速させる狙いもある。新プログラムでは、両プロダクトを融合販売したBPに、ハードの15%、ソフトの15%、ビッグデータ関連などでソーシャルを活用するソリューション販売をした場合に10%を、それぞれにキャッシュバックする。従来の報償金制度と比べても大きく、売った分の利益を得やすい制度が登場した。これだけをみても、同社の融合販売に対する力の入れようがわかる。

 一方、プロダクト面では、“業界初”と銘打った「エキスパート・インテグレーテッド・システム」を4月11日に世界発表することを報告した。詳細は次回に報道するが、イベントでは、システムズ&テクノロジーグループのロッド・アトキンス上級副社長がこれについて「ハードとソフト、専門家の知見を統合し、これまでにない価値を生み出す業界初の製品ファミリーだ」と説明している。いずれにしても、同社が「第三世代のコンピューティング」と称する、既存製品の延長線上ではない新時代のプロダクトであることは間違いない。(谷畑良胤)
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外部リンク

米IBM=http://www.ibm.com/us/en/

日本IBM=http://www.ibm.com/jp/ja/