IBMが拓く第三世代のコンピューティング時代
<IBMが拓く第三世代のコンピューティング時代>第1回 「非構造化データを活用せよ」 ロメッティ新CEOが檄
2012/04/05 20:29
週刊BCN 2012年04月02日vol.1426掲載
参加者のお目当て、ロメッティCEOが姿を現したのはイベントの2日目。メインホールに集まった2000人を超える聴衆の拍手に迎えられ、新CEOが発した第一声は、「機能していることは動かさず、利益の出ている戦略は変えない」。サミュエル・パルミサーノ前社長兼CEO(現会長)の路線を継承することを宣言したのである。
全体的にプロダクトに重点を置いていた昨年のPWLCとは異なり、今回はどの幹部からもメッセージ色の強い発言が目立った。ロメッティCEOも、「私は10年前に『PCの時代は終わる』と皆さんに告げた。それがいま現実になった。そして、ここから新しい時代が始まる」と述べ、「ビッグデータはバズワードではなくなった」と、クラウド環境やビッグデータを積極的に活用する「第三世代のコンピューティング時代」が到来したと語りかけた。
ロメッティCEOがいう「第三世代」とは何か。第一世代が電子計算機、第二世代はオフィスコンピュータ。第三世代の例として挙げたのは、同社の「Power7」プロセッサー搭載サーバーで構成されたコンピュータ・システム「Watson(ワトソン)」だ。
「Watson」は、昨年、米国で人気のクイズ番組「Jeopardy!」で人間のクイズ王と対戦し、勝利を収めた。百科事典に載っている基礎知識(構造化データ)だけを埋め込んだコンピュータでは、引っかけ問題の多いクイズ番組で勝つことはできない。自然言語で問われた質問を分析し、100万冊の本を読むのに相当する自然言語で書かれた情報の断片を分析し、短時間で最も適した解答を導き出す「Watson」の勝利は、「第三世代のコンピューティング時代」の幕開けを告げたのである。
ロメッティCEOは「企業内のデータは5年ごとに10倍に拡大する。そのデータの80%は非構造化データだ。今後は、コマース領域やソーシャルメディアの領域で増え続ける非構造化データをうまく使えるかどうかが、勝者と敗者の分かれ目になる」と語り、パートナーにIBMの最新テクノロジーをいち早く吸収するよう求めた。(谷畑良胤)
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