IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>65.NTB製作所(下) 顧客からの信頼を獲得

2012/02/16 16:04

週刊BCN 2012年02月13日vol.1419掲載

 機械部品の板金加工を手がけるNTB製作所は、2006年頃に写真データベース(DB)システムの構築に乗り出した。1万点以上に上る加工品を正確に識別するために、加工品の写真を撮影してDB化。現品票に写真を組み込む仕組みをつくった。専門知識のない事務職の従業員でも在庫を確認したり出荷時に現品と受注品を確認したりできるようになり、出荷漏れはまったく生じなくなった。

 2007年4月、得意先である田中精工が協力工場10社と設立した「小規模製造業EDI(電子情報交換)普及協議会」に参画し、田中精工が開発したEDIシステムの活用を開始した。田中精工の坂本栄造取締役システムグループ部長によれば、「NTB製作所は、システムを独自にカスタマイズして利用している」という。

 協議会は、大企業主導のEDIを小規模な下請けの製造業にまで普及させて製造業全体の競争力を強化することが目標。1次下請け、2次下請け、3次下請けでいまだに残る電話やFAXによる発注・請求の是正に取り組んでいる。NTB製作所のIT改革を支援した坂田岳史ITコーディネータ(ITC)は、協議会のアドバイザーとして技術の活用やその評価方法などについて指導している。

 NTB製作所は、坂田ITCの指導のもと、EDIシステムを活用して数社の得意先の受注情報をEDIで取り込むことによって、受注入力時間を20%にまで低減することができた。西村敏明代表取締役は、「90%ほどがEDI経由。導入効果が最も大きかった」と話す。

 2008年、写真DBシステムとEDIシステムを組み合わせた社内の業務システムを構築。EDIで自動的に受注情報を受信し、写真付きの作業指示書と現品票を自動的に印刷できるようになった。この結果、全体の生産リードタイムは30%程度短縮することができた。「顧客を逃がさない仕組みを築くことができた。QCD(品質、コスト、納期)をしっかり管理し、納期を1日もずらすことがなくなった」(西村代表取締役)。

 リードタイムの短縮や出荷漏れの防止によって、顧客満足度の向上という効果も得られた。継続的な受注確保に結びついている。今後は、新規顧客の獲得にも成果を生かしていくことを構想している。(信澤健太)

(左から)坂田ITC、NTB製作所の西村代表取締役、田中精工の坂本取締役
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