IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>63.セルフ(下) 工場稼働の平準化を目指す

2012/02/02 16:04

週刊BCN 2012年01月30日vol.1417掲載

 クリーニングの事業は、需要そのものが減っているだけでなく、コンビニエンスストアがクリーニングサービスを開始するなど、市場を取り巻く環境の変化に直面している。

 徳島県で大手クリーニング会社の地位を確保しているセルフ。同社の鳥取孝代表取締役は、ITを活用して新しいサービスを開始し、環境が厳しいなかでも売り上げの維持・拡大に取り組んでいる。

 鳥取氏は、ITコーディネータ(ITC)の小林勇治氏とともに、インターネットをベースとするITの仕組みをつくった。それが、布団などのクリーニング・保管サービスである。コタツ布団や毛布は、暖かくなれば使わないものの代表格だ。しばらくの間使わない寝具をインターネットを通じて全国から集めて洗浄し、一定の期間、自社工場に保管するというサービスである。すでに徳島市東沖洲に構える工場内に保管スペースを用意しており、近いうちにサービスを開始する予定だ。鳥取氏は、「土地が広い地方ならではのサービス」と、自負している。

 セルフは、2011年2月に東沖洲工場の稼働を開始した。県下の各地にあった複数の工場を一つの建物に統合したものだ。一般家庭を顧客対象とする「ファミリー」など、「セル」と称する部門に分けて、従業員が作業を行う。工場の統合は、セルフが立案する経営革新プランの一環である。統合が完了した今、「工場の生産性をいかに引き上げるかが次の課題になっている」(鳥取氏)という。

 クリーニングの需要は、季節変動が激しい。鳥取氏と小林ITCは、現在、POSシステムの入れ替えを推進しており、それに合わせたタイミングで、需要の高低の時期に合わせて、工場の稼働ライン/従業員数を自動的に調整するITシステムの構築を進めている。

 小林ITCは、「繁忙期はフルライン稼働し、閑散期は必要でないラインを停止する。このプロセスをITシステムが自動コントロールすることによって、工場稼働の平準化を目指したい」と構想を語る。鳥取氏は、「厳しい環境に置かれているからこそ、ITをフル活用して、作業の効率化・合理化を図っていく」という考えを示している。(ゼンフ ミシャ)

工場では部門ごとに作業を行う
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