IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!
<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>62.セルフ(上) 生産性を1.88倍向上
2012/01/26 16:04
週刊BCN 2012年01月23日vol.1416掲載
セルフの代表取締役・鳥取孝氏は、およそ12年前に、徳島県の企業の経営支援に力を入れているITコーディネータ(ITC)の小林勇治氏と出会った。その出会いが、ITを経営改善に活用するようになったきっかけである。鳥取氏は、小林ITCからアドバイスを受けて、店舗と工場に販売情報を記録するPOSシステムを導入し、手書きで行っていた顧客データの管理をデジタル化した。
1966年設立のセルフは、徳島・淡路島地域で約50%のシェアを握っており、年間、220万点の一般衣料や130万点のワイシャツを加工している。
鳥取氏は、服のカジュアル化によってクリーニングの需要が右肩下がりの傾向に向かうとみて、その打開策として、ITを駆使してサービス品質と顧客満足度の向上を目指している。
小林ITCが考えたシステムでは、料金計算や伝票記入といった受付の作業をはじめ、タグの取り付けや商品の格納整理など、各種作業にかかる時間を大幅に短縮し、「生産性(作業効率)を1.88倍引き上げた」(小林ITC)という。作業時間の短縮によって、お客に対応するスピードが速くなっただけでなく、コストの削減ができたので、セルフは、クリーニング需要が縮小するなかでも、売り上げの維持・拡大を実現している。ワイシャツ1枚98円と格安の料金を前面に打ち出し、業界シェアを確実に高めつつある。
POSシステムを導入したセルフは、店舗での作業時間の短縮に加え、店舗と工場の間の連携を強めることができた。
クリーニング工場では、タグに記したバーコードをスキャンし、クリーニングが終わった製品を自動的に各店舗への配送車に分配する。手作業だけではできない正確な処理を実現しているのだ。鳥取氏は、「小林先生と緊密に連携を取って、ITのさらなる活用に取り組んでいる」と、まだ改善の余地があることを打ち明ける。(つづく)(ゼンフ ミシャ)
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