年頭所感

【2012年 年頭所感】 野村総合研究所(NRI)

2012/01/05 20:39

週刊BCN 2012年01月02日vol.1413掲載

真のビジネスパートナー

嶋本正 社長
 顧客企業のビジネスにとって何が最適なITシステムなのかを見極めることができるベンダーこそが、真のビジネスパートナーとして認められる。ただ、言うは易くで、実際には、ユーザーにとってメリットがあることは、必ずしもベンダーにとっていいことばかりではない。

 クラウド/SaaSに象徴される「所有から利用へ」の流れが拡大すれば、ソフトウェア開発の絶対量は減少する。ユーザーからみればコスト削減ができるメリットがある一方で、ソフト開発の比率が大きいベンダーにとってみれば、減収要因になる危険性がある。だが、真のビジネスパートナーたるには、顧客のビジネスを探り、どのような業務システムが利用に適していて、どの領域を個別のソフト開発で対応すべきなのかを峻別し、切り分けていく力量が不可欠となる。従来型のソフト開発にこだわり過ぎると、所有から利用への潮流に乗れず、ビジネスチャンスを逃してしまう。

 当社は、かねてから業種業態に合わせた業界標準ビジネスプラットフォームづくりに力を入れており、得意業種の一つである証券業では、ほぼデファクトスタンダードのポジションを獲得してきた。“顧客のビジネスを成功に導く”──この一点だけを判断基準として、所有・利用の方式を問わずに提案できる体制、体力づくりが求められている。こうした提案ができるベンダーが、ほぼイコールで成長できるベンダーということになるだろう。
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