日本IBMの中堅市場戦略
<連載・日本IBMの中堅市場戦略>最終回 エピローグ 全国で結実した地道な販社支援活動
2011/11/10 20:29
週刊BCN 2011年11月07日vol.1406掲載
新組織発足からおよそ2年、成果は確実に生まれている。IBMのビジネスパートナーの声が、それを証明している。例えば、鹿児島県に本店を置くSIerであるソフトマックスの斉藤克司取締役は、電子カルテシステム案件で日本IBMに掛け合い、「迅速・丁寧に相談に乗ってくれた」と、日本IBMの九州地域担当者を高く評価。ソフトマックスはその後、競合製品の取扱量が多かったなか、日本IBM製品を並行して販売するようになった。また、関西には、京都産業大学にシンクライアントシステムを納入した三谷商事の例がある。同社の岡崎俊明・情報ソリューション事業部関西支店文教営業課課長は、「最新技術で安定稼働の実績を豊富にもつIBMの商材を扱っていることが当社の武器になっている」と話す。
東北地方にも日本IBMの支援を受けてユーザー企業をサポートしているSIerが存在する。シンエイシステムという岩手県に本社を置くITベンダーで、東日本大震災で被災した企業の復興支援活動を、日本IBMの協力をもとに推進。岩手県大船渡市に事務所を構える大船渡市農業協同組合(JAおおふなと)には、震災後、迅速にシンクライアントの導入を進めた。首都圏にも事例はある。SIerのクオリカは、生産管理システム「AToMsQube」で、日本IBMのOS「IBM i」対応版を日本IBMのサポートをもとに開発。開発・検証施設として、米IBMの開発環境を借りた経緯があり、「IBMの環境が使えなかったら、発売日は遅れていたはず」と、荒河睦美・アトムズキューブ室担当部長は語っている。
「当社の体制に不満が多いことは承知している」。連載の第1回目で日本IBMの伊藤昇・広域事業部長は、パートナー&広域事業部が発足する前、パートナービジネスで抱えていた課題をこう説明した。その課題を解決するために、日本IBMはおよそ2年の期間をかけて、地道なパートナー支援活動を全国均一に展開してきた。その成果は、さまざまな地域で着実に実を結んでいることを、この連載の取材を通じて、強く感じた。(木村剛士)
- 1