日本IBMの中堅市場戦略

<連載・日本IBMの中堅市場戦略>第12回 協業事例 クオリカ(上)

2011/10/27 20:29

週刊BCN 2011年10月24日vol.1404掲載

 日本IBM(橋本孝之社長)は、中堅企業向けビジネスを拡大させるために、パートナー企業との協業を促進し、全国でアライアンスの輪を広げている。クオリカ(西田光志社長)も、日本IBMとの連携を強めているITベンダーの一社だ。

生産管理システムと「IBM i」の連携

クオリカ
荒河睦美担当部長
日本IBM
大西徹郎氏
 クオリカは、建設重機メーカーであるコマツの子会社として、1982年に設立されたソフト開発・SI企業。その後、TISの傘下に入り、今はITホールディングスグループの一員になっている。製造業のユーザー企業向けパッケージソフトやSIに強く、2010年7月には、クラウドでの提供も可能な新たな生産管理システム「AToMsQube(アトムズキューブ)」を発売した。

 「AToMsQube」は、販売開始直後から順調で、国内だけでなく中国での実績もある。11年9月末時点で、ユーザー企業数は導入中を含めて国内で12社、中国では9社。「初期投資が少額で済み、月額課金型で利用できる形態が、高い評価を得ている」(荒河睦美・アトムズキューブ室担当部長)。

 クオリカが日本IBMとの連携を強めている分野は、この「AToMsQube」の製品開発・販売促進だ。「AToMsQube」を発売したおよそ1年後の11年6月、クオリカは「AToMsQube」を、日本IBMが提供するOS「IBM i」に対応させた新バージョンの販売を開始した。

 日本IBMのパートナー&広域事業 広域事業部 第一営業部に所属する大西徹郎氏によると、クオリカと日本IBMは2010年の秋から、「AToMsQube IBM i 版」のリリースについて協議を開始した、という。クオリカは、「AS/400」の時代からの販売代理店として、「IBM i」の根強いファンがいることを知っており、「IBM i」上で動作する生産管理システムが用意できればビジネスチャンスが広がると判断。一方、IBMサイドも、製造業の「IBM i」ユーザーのニーズに応えうるPower Systemの拡販商材として期待をよせ、両社の思惑が一致した。

 これを踏まえて2011年の年初から、「AToMsQube IBM i 版」の開発/動作検証作業をスタートさせて着々と準備を進めてきた。(木村剛士)

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