関西のITベンダーの「今」そして「これから」

<関西のITベンダーの「今」そして「これから」>第6回 関西発の中堅SIerの動き(前編) 新しい事業を急ピッチで開拓 従来型SIからサービスにシフト

2011/10/27 16:04

週刊BCN 2011年10月24日vol.1404掲載

 製造業の海外流出や、東日本大震災によるIT投資凍結、ソフトウェア受託開発の厳しい市場見通し。関西地区の中堅システムインテグレータ(SIer)は、今、従来のビジネスの見直しを迫られており、新しい事業領域の開拓を急ピッチで推し進めている。関西の中堅SIerはどのように市場環境の変化に対応するか。今週号と来週号で彼らの取り組みを追う。

Minoriソリューションズ
松本亨
関西本部長
コベルコシステム
奥田兼三
社長
 年商規模が約124億円のMinoriソリューションズ(滝澤正盛社長、東京都新宿区)は、売り上げのおよそ30%を関西地区で稼いでいる。同社は、2010年4月に、JSCとイーウェーブの合併によって設立された。イーウェーブはもともと大阪に本社を構えていたこともあって、現在も関西地区でのビジネスを強みとしている。現在、Minoriソリューションズの売上構成は、NTTデータ関西など有力SIerから引き受ける案件が60%を、製造業や金融業などのユーザー企業向けの直販が40%を占める。

 常務取締役執行役員の松本亨関西本部長は、「エンドユーザー向け事業は売り上げの予測がしやすいので、投資のリスクが減る。これから、直販の拡大を目指して、営業活動に拍車をかける」としている。エンドユーザー向け事業の強化によって、大手SIerへの依存度を下げることを狙う。それに向け、同社が主なターゲットに据えるのは年商500億円以下の中堅・中小企業(SMB)だ。Minoriソリューションズは、最近、情報を収集・分析できるシステムの引き合いが高まっており、「今年度の売り上げは、前年度比で10%増を目指したい」(松本・関西本部長)と強気な姿勢をみせる。

 このところ、新規事業の立ち上げを目指して、独自のクラウド型サービスを投入する中堅SIerが増えている。年商規模が約300億円で、神戸市に本社を構えるコベルコシステムもその一社だ。今年9月に、中堅・中小企業向けのクラウド型電子文書管理サービスの提供を開始し、今後、クラウドサービスのメニューを拡充していく。同社の奥田兼三社長は、こうした施策に加えて、「企業がシステムをプライベートクラウドへ移行する動きが活発になり、既存システムとの連携サービスに新たな商機が生まれる」とみて、事業方針を従来型SIからサービスへとシフトしようとしている。

 もう一つ、コベルコシステムにとって成長のチャンスとなるのは、日本IBMとの連携だ。同社は日本IBMのグループ会社で、「大型開発案件にあたって、IBMに声をかけてもらう」(奥田社長)など、売り上げの約20%を日本IBMと協業したビジネスで獲得している。今後は、とくに「スマートシティ」案件に関して、日本IBMとの連携を強める構えだ。(ゼンフ ミシャ)
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