視点

投資対象として魅力的な太陽光発電

2011/10/13 16:41

週刊BCN 2011年10月10日vol.1402掲載

 8月26日に再生可能エネルギー特別措置法案が可決され、2012年7月に施行される。この法案は、太陽光や風力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーによる発電の全量を電力会社が買い取る制度を盛り込んだものである。金額と買取期間は未定だが、予想発電量から回収金額がほぼ確定し、利回りが計算しやすいこともあって、投資対象としても注目されている。

 だが、予想発電量をベースとして回収見込みを算定しても本当に大丈夫だろうかと心配する向きも多いと思うので、太陽光発電設備を設置してすでに1年以上が経ったわが家の実例を紹介しよう。

 太陽光発電の予想発電量は、JIS8907の規格を適用して設置の方位・傾斜・モジュール特性、各種損失係数と地域の日射量データから算出することができる。わが家の太陽光発電は、サンヨー5.04kWを東西の屋根に設置しており、算出された予想発電量は年間4907kWhだった。結果はというと、この1年間の実発電量は5590kWhで、予想発電量より14%も多かった。これには三つの理由がある。一つはメーカーが損失係数を大きめにとって、予想発電量を抑え気味に設定していること、二つめにモジュールが定格出力よりも実際には数%多い出力になっていること、三つめは過去のデータよりも多い日射量の1年間であったことだ。当初、余剰電力買取制度による年間の発電貯金を18万8800円と算出して、11年間で初期投資を回収できる見込みとしていたが、実際には22万6400円の発電貯金を生み出してくれたので、このままでいけば9年間で回収できることになる。

 産業用の場合は全量買取制度となるので、より正確な回収・利回りの見込みを立てることができる。ちなみに、1MW(1000kW)の太陽光発電であれば、約2ヘクタールの敷地に4億円程度で設置が可能なので、仮に制度設定で買取額36円/kWh、15年間となれば、地代・ランニングコストを差し引いても十分に回収することができる計算が成り立つ。

 もちろん、自然エネルギーなので毎年の天候に左右されることや、モジュール劣化による発電量低下などリスクがあることも理解をしておかなければならない。そうしたリスクを勘案しても、地域における新たな産業と雇用創出に大きな役割を果たすことが見込め、日本の環境・エネルギー問題解決の一端を担うことができるメリットは非常に大きいと思う。
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