日本IBMの中堅市場戦略

<連載・日本IBMの中堅市場戦略>第7回 ユーザー事例 京都産業大学(下)

2011/09/22 20:29

週刊BCN 2011年09月19日vol.1399掲載

 日本IBM(橋本孝之社長)と京都産業大学(藤岡一郎学長)は、ベンダーとユーザーという間柄で13年以上にわたるつき合いがある。今年の春、京都産業大学がシステムを入れ替える際、システムインテグレータ(SIer)の三谷商事(三谷聡社長)とともに、日本IBMのサーバーを活用したネットブートソリューションを提供した。

緊密な連携で高い技術力を発揮

三谷商事情報
ソリューション事業部
関西支店文教営業課
岡崎俊明 課長
三谷商事情報
ソリューション事業部
関西支店文教営業課
岸本英明 氏
 京都産業大学が導入したシステムは、ネットワークを通じて学生が使うクライアント端末の起動や制御ができるネットブート機能を活用したものだ。ネットブートシステムは、クライアント端末のローカル環境に起動ディスクを設置する必要がないことや、メンテナンス作業にかかる時間が大幅に減ることなどから、コスト削減とIT管理の効率化を実現する。日本IBM製サーバー12台を採用した京都産業大学のネットワークブートシステムは、2000台を超える大量のクライアント端末を対象にした仕組みである。関西地区の大学のなかでも最大級となるこのネットブートシステムを三谷商事が構築した。

 三谷商事の情報ソリューション事業部 関西支店文教営業課の岸本英明氏は、「京都産業大学に提供するシステムの検証環境をつくるにあたって、日本IBMはサーバーなど必要な機器のすべてを貸し出してくれた。さらに、日本IBMのシステムエンジニア(SE)に構築現場に来てもらい、京都産業大学と当社と日本IBMのSEが一緒になって、プロジェクトを進めることができた」と、日本IBMの厚い支援に感謝の意を表している。

 三谷商事と日本IBMは、システムが大規模になるほどトラブルが発生しやすいとみて、京都産業大学ではどのようなトラブルが起こり得るかについての検証を重ね、トラブルを確実に解決するための策を講じた。京都産業大学の情報センターの尾崎孝治課長補佐は、「システムの検証段階では、どのベンダーを選択するかはまだ決定していなかった。三谷商事と日本IBMが手際よく協力して、高い技術力をみせてくれたことが、彼らが提案するソリューションに最終決定する要因になった」と、三谷商事と日本IBMとの密な連携が発注につながったと語る。

 三谷商事と日本IBMは、京都産業大学の成功事例を踏まえて、関西地区の文教市場をさらに開拓していく。三谷商事関西支店文教営業課の岡崎課長は、「大学にITソリューションを提案するにあたって、最新技術で安定稼働の実績を豊富にもつIBMの商材を扱っていることが、SIerにとっての大きな武器になる」としている。その裏づけとして、京都産業大学の尾崎課長補佐は「世界初のすぐれたITを導入することによって、他大学との差異化を図ることができる」という。三谷商事と日本IBMは、大学をはじめとする文教市場のIT需要に着目し、この市場での事業展開を拡大していく。(ゼンフ ミシャ)

京都産業大学のパソコン教室。システムの入れ替えとともに、2500台以上の新しいモニタを導入した

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外部リンク

「中堅企業向けビジネス・センター」=http://www-06.ibm.com/businesscenter/jp/