IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>40.遠赤青汁(中) システム連携が事業拡大に貢献

2011/08/18 16:04

週刊BCN 2011年08月08日vol.1394掲載

 愛媛県東温市に本社を構える健康食品の遠赤青汁は、約30人の従業員を有している。製造部門である工場や、販売活動に携わる営業部など、各部署が物理的に離れているので、それぞれのセグメントをITで連携させて、全社での情報共有ができるシステムが業務効率化のカギになる。

 遠赤青汁で企業内ITコーディネータ(ITC)を務める渡部一恵CIO・インターネット担当は、およそ9年前に、工場と営業部の間の連携が不十分であることを経営上の課題と捉えて、各部署のデータをつなげるITシステムの構築に取り組んだ。「当時、社員は他の部署の仕事の内容を理解していないだけなく、他部署からの情報があっても、それをどのように自分の業務に活用できるかについての理解が足りなかった」とネックを指摘する。

 そこで、渡部ITCは、工場長など、各部署のトップと緊密に連携して、情報の共有・活用ができるシステムづくりを推進しながら、社員の理解を深めるための啓発活動に力を入れた。渡部ITCの努力が実って、5年ほど前にシステムの連携が完了した。これによって、情報の共有・活用ができるようになったことが遠赤青汁の事業拡大に刺激を与えたとしている。

 渡部ITCは、「当社はかつて、テレビショッピングの運営会社から、健康食品の大量注文を受けたことがある。大量発注に迅速に対応するために、どうしてもITシステムをうまく活用する必要があったので、この受注をきっかけとして、『早くシステムを使いこなせるようになりたい』と、社員のモチベーションが大きく向上した」と語る。システムの連携を実現したことによって、大手企業との取引が増えたことに加え、インターネットショップでの販売も活性化しているそうだ。「ウェブでの受注が、システム改善前と比べて約6倍の実績を記録した。リピーターも多く、ウェブ販売が順調に伸びている」(渡部ITC)と成果を語る。

 このところ、愛媛県で高速伝送ができる光通信のインフラ整備が進んでおり、東温市にもインフラが整いつつある。渡部ITCは「光通信が使えるようになったら、今後、動画の配信を開始したい」と展望を語る。(つづく)(ゼンフ ミシャ)

システム改善前に比べて、ウェブでの受注が6倍ほどにも伸びた
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外部リンク

遠赤青汁=http://www.enseki.com/