IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>39.遠赤青汁(上) 海外進出のためにITを活用

2011/08/04 16:04

週刊BCN 2011年08月01日vol.1393掲載

 有機栽培した緑黄色野菜「ケール」をまるごと乾燥し粒状にした健康食品や、石けんなどの化粧品を製造・販売している遠赤青汁(愛媛県東温市)。高岡照海代表取締役は、自らが「青汁を飲んで健康を取り戻した」という経験もあって、数年前に、従来の造園業から健康食品の販売へと、事業を転換した。

 遠赤青汁の健康食品の主な販売ルートは、全国の高級デパートだ。通信販売によるエンドユーザーへの直販も行っている。しかし、高岡社長は、製品の展開を国内にとどまらず、米国やヨーロッパ、香港やシンガポールを中心としたアジアといった海外の市場にも、すでに20年ほど前から着眼してきた。

 高岡代表取締役は、「とくにここ数年は、富裕層人口の増加に伴ってアジアでの購買力が急速に高水準になり、また、欧米では健康で安全・安心な食品に関する認識が高まっている。海外は日本よりも販売しやすい市場になりつつある」とみる。

 海外市場の攻略には、ITの活用が関わってくる。遠赤青汁は、およそ9年前に、国内での販売チャネルの拡大と、情報を幅広く発信するなど海外展開の基盤づくりを目指して、ホームページ(HP)を強化し、ネット販売の環境を整備した。さらに、顧客情報などのデータを有効に活用するために、社内ITシステムの改善に取り組んできた。当時、高岡社長は、「コンサルタントから、『海外を目指すなら、IT担当の専任者を置く必要がある』とのアドバイスを受け、社内でインターネット担当のポストを設けた」という。

 現在、CIO・インターネット担当を務めるのは、ITコーディネータ(ITC)の資格を取得している営業企画部の渡部一恵氏だ。遠赤青汁での“企業内ITC”として、ITシステムの改革に携わっている。渡部ITCは、「当社で仕事を始めたときは、HPを活用したネット販売がすで始まっており、通販ソフトも導入して顧客管理もできていた。しかし、例えば製造部門である工場と販売担当の営業部との間、各セグメント間の情報連携がまったくできていなかった」と、当時の問題点を振り返る。そこで、渡部ITCは、2~3年をかけて、各部署のトップとのコミュニケーションを重視しながら、各部署のデータをつなげるITの仕組みづくりを実現したという。(つづく)(ゼンフ ミシャ)

本社のそばの大きな看板が目を引く
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外部リンク

遠赤青汁=http://www.enseki.com/