視点

新サービス「グーグルプラス」の狙い

2011/07/28 16:41

週刊BCN 2011年07月25日vol.1392掲載

 グーグルは、6月28日、「グーグルプラス(Google+)」というソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を開始した。当面は試験運用を続け、近く一般公開されるといわれている。この原稿を書いている時点では、招待状のない人は利用できないことになっている。

 微妙なニュアンスを伝えきれない現在のインターネット上のコミュニケーションを改善することが、新サービスの目的だとグーグルは説明している。主な機能は三つあって、「サークル(Circles)」「ビデオチャットルーム(Hangouts)」「Sparks」である。

 まず「サークル」は、友人や知人をいくつかのサークル(グループ)に分け、特定のサークル内で情報を共有できるという仕組みである。フェイスブックでもグループを作成することはできるが、基本は「友人」というくくりで一括管理されており、普通に投稿すればすべての友人と共有することになる。それに対してグーグルプラスでは、あらかじめ「友だち」「家族・親戚」「知人」「フォロー中」というサークルが設けられているが、新規サークルを簡単につくることができ、自分の投稿の範囲を自由に選択できる。

 ビデオチャットルームは、ひと言でいえば、スカイプである。グループでのビデオチャットが簡単にできる。ただ、スカイプはテレビ電話的だが、グーグルプラスのビデオチャットルームは、時間がある時にちょっと顔を出して仲間とおしゃべりができるサロンのようなものを目指しているようだ。

 Sparksは、利用者が設定したテーマに従ってネット上のコンテンツをニュースフィードのように届けてくれるサービスである。

 グーグルがSNSに参入した真の狙いは、どこにあるのだろうか。インターネット利用時間でみると、グーグルよりもフェイスブックのほうがより多くの利用者を集めているので、グーグルが危機感を抱いたとも報道されている。しかし、6億人を超えるユーザーを抱えるフェイスブックに対抗するためだけに始めたサービスだとは思えない。

 任意のサークルを作成し、ビデオチャットができ、そのうえで情報共有ができる機能を備えているところをみると、少し機能をブラッシュアップして、グーグルアップスと組み合わせて企業向けのコラボレーション・プラットフォームとして展開するつもりなのではないだろうか。
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