視点

再生可能エネルギー普及促進を加速させよ!

2011/04/21 16:41

週刊BCN 2011年04月18日vol.1379掲載

 東日本大震災で被災された皆様、そのご家族の方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 東日本大震災では、地震や津波の自然災害とともに、福島第一原子力発電所の放射能汚染という人災が、人々に恐怖と不安をもたらしている。予断を許さないのは政府の発表の通りであり、この数年で解決する話ではない。原子力発電はCO2を排出しないクリーンで巨大なエネルギーをつくることから、環境問題(CO2排出削減)の解決の格好の手段として推進され、安全・安心を訴えながら、大きな投資が行われてきた。しかし今、日本のみならず世界中が原子力発電建設計画の見直しを迫られている。

 原発の稼働停止のせいで関東地方では電力供給量が不足し、計画停電の実施によって生活や経済に大きな影響をもたらしている。さらには、石油や石炭などの化石燃料は高騰し、輸入に頼る日本にとっては、国力低下を招く要因ともなっている。日本のエネルギー自給率はたったの4%(原子力発電を除く)しかなく、10年前に5兆円だった原油輸入額は、使用量が増えていないにもかかわらず25兆円に膨れ上がっているというのが実情だ。

 このような状況にあって、今こそ再生可能エネルギー(風力・水力・太陽光・太陽熱・バイオマス等)の普及促進を加速させるべきではないか。例えば、2008年7月に閣議決定された「低炭素社会づくり行動計画」での2020年までの計画を5年で実施することができれば、住宅用太陽光発電の発電量だけで約2800万kWの供給を行うことができる。あわせて、海外でも進められているメガソーラーによる大規模発電事業の土地再利用、誘致促進を同時に進めるべきである。

 ただし、再生可能エネルギーは不安定なエネルギー供給源なので、マイクログリッド&スマートシティといった地域単位でのインフラ整備(蓄電池・送電網・xEMS)にも規制を緩和するとともに原子力発電に充てられていた予算を振り分ける。事業仕訳で削減された設置補助金を復活し、電力買取制度(FIT)をドイツと同様に全量買取制・期間20年とすれば、普及を加速することができる。並行して、排出権取引の市場を本格的に稼働していく。

 復興のためにも、新たな雇用と新しい地域エネルギー社会を創造する方針を打ち出して大胆な具体策を進めていくことが、今こそ求められている。
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