次世代IBM製品の「革新」 IBMサーバー戦略を追う

<次世代IBM製品の「革新」 IBMサーバー戦略を追う>01 「System x」の製品戦略 「eX5」が常識を破った

2011/04/14 20:29

週刊BCN 2011年04月11日vol.1378掲載

 米IBM(サミュエル・パルミサーノ会長)が2月中旬に開催した「パートナーワールド・リーダーシップ・カンファレンス(PWLC)」をはじめ、記者は米国の研究開発拠点を訪れて、サーバー製品を中心に次世代の製品・販売戦略を取材した。今回の連載では、各地で得た情報をもとに、同社のロードマップを紐とく。第一回目は、米ラーレイにある「System x」の開発部隊を取り上げる。

マイク・ギブソン氏
 米国東部のノースカロライナ州にある世界最大級の研究学園都市、リサーチ・トライアングル・パーク(RTP)には、米IBMが世界に展開する開発研究拠点としてインドに次ぐ規模を誇るIBMサーバー「System x」開発の“総本山”がある。

 IBMサーバー製品で最も販売ボリュームが大きい「System x」だが、2010年度(10年12月期)は、「世界的に記録的な素晴らしい成長を遂げた」と、同製品ビジネスラインプログラムディレクターのマイク・ギブソン氏は喜びを隠さない。2010年度に「System x」は、世界で前年比33%、日本で24%も販売台数を伸ばしている。

 成功の要因は複数あるが、IBM第5世代エンタープライズ「Xアーキテクチャ(eX5)」のテクノロジーを搭載したサーバー製品が、前年度比で3倍の成長を果たしたことが大きいだろう。「eX5」は、x86サーバーの常識を破る大容量メモリで、ワークロードに最適なパフォーマンスを選択して構成することができ、柔軟性と拡張性をもっている。

 ギブソン氏は「メモリスロット拡張ユニット『MAX5』や、ハードディスクと比べ圧倒的なI/Oを叩き出すフラッシュ型記憶装置『eXFlash』への対応など、競合製品に比べて圧倒的な価格競争力がある」と語った。ヒューレット・パッカード(HP)やデルの同等サーバーと比べて、仮想環境の構築の際にも適した製品であることを強調した。

 タワー型/ラックマウント型のサーバーに加えて、近年、ユーザーは既存システムを無駄にすることなく持続可能なシステム設計にすることを求めている。IBMのブレードサーバー「IBM BladeCenter」も、こうした要求に応えて革新を遂げた。ここでも「eX5テクノロジー」によって、ブレードサーバーによるデータベースや仮想化環境の構築で、かつてない性能を発揮できるようになったという。ギブソン氏は「『MAX5』との接続で、クラス最大級のメモリ拡張が可能で、プロセッサを追加購入することなくメモリ容量を引き上げることができる」と、ビデオ会議の普及やネットワーク利用の拡大などの要求に応えられる製品だと自信を示す。近く、さらに技術革新を遂げた「System x」の新製品も発表される予定だ。(谷畑良胤)

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