IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>18.利恵産業(下) 業務効率を大幅に改善

2011/03/03 16:04

週刊BCN 2011年02月28日vol.1372掲載

 利恵産業(助川秀一朗社長)は、多品種少量生産に対応する新システム「リエ・サプライチェーン・システム」(RSS)の構築方針として、12項目を列挙した。

 基本業務を網羅することのほか、RFIDの活用による在庫管理の精度向上とトレーサビリティの実現、EOS・EDI受注データの自動取り込みなどがそれだ。

 「RSS」を構築するITベンダーには、ブロード・システム・ソリューションズを選定。食品業界向けパッケージの納入実績が豊富である点を評価した。

 「RSS」の特徴は、レシピ管理システムで製品のほか中間品、原料、原材料の規格情報をツリー構造で構成登録したり、生産管理システム・販売管理システムとのマスターデータの連携ができたりすること。これによって、多品種少量生産でも新規・変更が無駄やミスなく生産指示に反映される。原材料から製品までをハンディターミナルで実績収集しているので、ロットトレースも可能だ。

 2008年10月から09年9月までの1年間で、最も向上したのは現場の生産性だった。例えば、「指示がないことによる手待ちの状態がなくなった」(遠藤哲・製造部商品開発課課長)ことで、906万6000円のコストを削減できた。また、製造指示関連の能率も大幅に向上。受注予測数と受注数をもとに、品目すべての所要量計算から生産指示、原材料発注までを無駄な人を介さずに行うことで、470万8000円のコスト削減に成功した。

 なお「RSS」の構築と並行して、ITコーディネータ(ITC)の淺野秀藏氏がEDI技術コンサルタントとしてプロジェクトに関わった。「共通XML/EDI実用化推進協議会」(COXEC)の実証実験への参加で得た経験を生かし、共通XML/EDIの活用による中小製造業の連携と業務効率の向上を目指した。

 共通EDIの主な利点は、短時間かつ確実に企業間の情報共有が可能になり、当日受注・当日発送に向けて高い効果を得られること。現在、利恵産業のほかに2社が活用しており、さらに普及を目指す。

 このほか、人事管理システムの構築が検討事項。遠藤課長は「独自開発になるだろう」と話している。(信澤健太)

衛生管理を徹底している
  • 1

関連記事

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>17.利恵産業(上) 多品種少量生産に対応する

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>29.フードケア(上)

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>30.フードケア(下)

ITコーディネータ協会 ITC保有者/1万人に再挑戦 試験にCBT方式を採用

【ITコーディネータ協会】自治体にITC活用が拡大