視点
IPv4枯渇でIPv6のビジネスが見えた
2011/02/17 16:41
週刊BCN 2011年02月14日vol.1370掲載
現在のスピードでIPv4アドレスの割り当てが続けば、アジア、欧州、北米では、今年7月1日に在庫が枯渇するという。この「IPv6問題」がIT製品の需要喚起につながると、多くの国内ITベンダーが色めきたっている。本紙では、何度となくこの問題を取り上げてきたが、さまざまな製品やソリューションが「IPv6」対応を棚上げしてきた。IPv4の枯渇が目前の今、急ピッチな対応を迫られている。
IPv4の枯渇が現実のものとなるまで、IPv6への対応が法人市場を中心に進まなかった理由は、IPv6への移行を促すキラーアプリケーションがなく、IPv4の技術が優秀で移行する理由が見当たらなかったことにある。例えば、IP電話サービス「Skype(スカイプ)」は、NAT(IPアドレスを複数のコンピュータで共有する技術)で実現している。本来はIPv6に適しているが、取得するユーザーが少ないIPv6向けにサービスを提供してもビジネスになりにくく、IPv4対応にせざるを得ない実情があった。
IPv4の枯渇を受けて、さっそく動き出したのは、IPv4からIPv6に変換可能なトランスレータの機器を開発・販売するベンダーだ。当面は、両アドレスが並行運用されることから、全面的にIPv6へ移行するまでの段階的な措置を講じることができる。
実は、IPv6が主流になっても、IPv4が動かなくなることはない。しかし、IPv4依存のネットワークでは、NAT多用で管理コストが増大したり、海外とのネットワーク通信に支障を来す場面が想定される。5年ほど前には、「IPv6普及・高度化推進協議会」が「IPv6移行ガイドライン」を出し、注意を喚起したものの、効果が上がらなかった。今度こそ、このガイドラインなどを参考にしつつ、システムインテグレータは顧客に適したIPv6対応に向けたソリューションを生み出す必要がある。
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