IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>16.東京真珠(下) 必要不可欠な機能に絞って構築

2011/02/17 16:04

週刊BCN 2011年02月14日vol.1370掲載

 ITコーディネータ(ITC)の加藤徹郎氏が東京真珠からシステム再構築の依頼を受けたのは、2008年のことだった。加藤氏は、システム開発などを手がけるキーウェアソリューションズ(中島哲二社長)で、経営とITの統合コンサルティングからシステム構築・導入・保守といった一連のシステムのライフサイクル全般にわたって最適なサービスを提供する「keyCOMPASS(キーコンパス)」の事業部長を務めており、ITCとして5年以上の経験を積んでいる。

 加藤ITCのミッションは、老朽化してきた東京真珠の販売管理システムの作り直しである。東京真珠の峰岸明治執行役員管理本部長は、「時間をかけて、システムの弱点をじっくり分析してもらった」と、加藤ITCが指揮を執ったキーウェアソリューションズのチームの仕事ぶりをほめる。

 しかし、システム再構築の最初の提案は、「かなり高額の内容だったので、当社の予算をはるかに上回った」(峰岸本部長)ということから、作り直しの計画をいったん中断したという。それを受けた加藤ITCは、東京真珠の業務に欠かせないシステム機能に優先順位をつけ、必要不可欠なものに絞ることによって、コストを抑えたシステムを実現。

 2009年の初めに、システム再構築が本格スタート。最初のフェーズでは、加藤ITCのチームが週2回にわたって東京真珠に通ったが、今は、週1回という程度で、峰岸本部長を入れて東京真珠側の担当者二人と一緒にシステム再構築の作業に取り組んでいる。峰岸本部長は、「総務や財務などの本業をもっているので、週1回のペースでもかなり大変だ」と苦笑する。

 東京真珠は、スムーズな情報活用によって業務の改善を図ることができると、新しいシステムに大きな期待を寄せている。本格的な稼働開始は、2011年10月を予定している。加藤ITCは「システム再構築の規模が大きいので、検証作業に時間がかかる」と説明する。

 峰岸本部長は、加藤ITCと一緒に仕事をした2年ほどの期間を振り返って、「問題意識の共有ができたことがよかった」と話す。加藤氏は、「システム稼働開始の10月以降にも、何らかのかたちで東京真珠に貢献できれば」と、今後もITの改善に協力していくという。(ゼンフ ミシャ)

本社内にあるショールームでは、真珠やダイヤモンドのジュエリーを直販している
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