日本IBM ISV/パートナーと描く業種戦略
<日本IBM ISV/パートナーと描く業種戦略>2 業種に適したISV製品を認定 国産ソフトが世界に進出できる
2011/01/18 20:29
連載第2回
・1回目から読むインダストリー・フレームワークはITアーキテクチャーとしてSOA(サービス指向アーキテクチャー)を採用し、ソリューションを構成するコンポーネント同士を標準インターフェースを介して組み合わせることができる。この上に業界標準として普及しているプロトコル、データフォーマットあるいは業種別のビジネスプロセスを定義したものがインダストリー・フレームワークと呼ばれる。システム構築の際にこれを活用すれば、各種標準への対応と、対応するISV製品の組み込みを容易に行うことができる。「このフレームワークを有効活用することで、変化に強いIT環境を顧客に提供できるようになる」(佐内桐梧・ソフトウェア事業ISV&デベロッパー事業推進部長)と話す。
すでに、インダストリー・フレームワークの例としては、宇宙航空研究開発機構(JAXA)向けに次期固体燃料ロケットの設計開発を支援する「イプシロンロケット開発プロセス管理システム」がある。このシステムは、技術情報を体系的に蓄積して利用することを目的にしており、SOA技術を用いたオープンな環境でシステム構築している。このため、設計支援企業が保有するPLMソフトウェアを頼らずに技術情報の共有が可能となり、柔軟で効率的な開発を支援できるという。
日本IBMはこれまでに、同フレームワークにアプリケーションやクラウド・サービスを提供する国内ISVとして、IBMのミドルウェアに対応した製品をもつ50社ほどに案内し、この先、ソリューション開発や流通・販売を含めた新たなパートナリングを結ぶ。フレームワークと連携したISV製品は、日本IBMの社内基準に基づいて技術認定し、「国内にとどまらず、世界のIBMパートナーが販売できるようにする」(佐内部長)という。国内ISVにとっては、世界へ進出する機会が生まれるわけだ。
昨今の企業システムは、ERP(統合基幹業務システム)を導入する際のようにビックバン的に変革させるのではなく、戦略の変化に応じてビジネス・プロセスを変えていく高頻度反復型の業務改革が求められている。同社が展開する新たなISV戦略は、これまで行き届かなかった業種や業務・業態にITを提供できる市場をつくり出すことになりそうだ。
日本IBMは1月26日、東京・六本木の六本木アカデミーヒルズ(六本木ヒルズ森タワー40階)で、「Partner Ecosystem for IBM Smarter Planet 2011」と題し、ISVやビジネス・パートナー(BP)を対象にしたイベントを開催する。このイベントでは、業種別のフレームワークの紹介など、ISVとBPとで築くエコシステムなどについて説明する。
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