視点
2011年はデータセンターの年
2011/01/06 16:41
週刊BCN 2011年01月03日vol.1364掲載
ITベンダーや通信事業者、インターネットサービスプロバイダ(ISP)などが相次いでDCを建設する理由はこうだ。クラウドを利用したサービス展開に視線が注がれた1年ほど前までは、企業内にクラウドを構築する「プライベートクラウド」を導入する戦略に業界全体が目を向けていた。
しかし、「プライベートクラウド」は中堅上位と大手企業には適したシステムだが、幅広い層へ普及するためには価格やシステム面でも改良が求められる。また、「従来のクライアント/サーバー型の発展型」との声も多い。国内のIT産業が技術革新を続け、「2020年までに40兆円産業になる」(経済産業省試算)ためには、GoogleやAmazon EC2のような「パブリッククラウド」を展開する産業の発展が欠かせない。
2011年は、DCが成長市場であることは、すなわち「パブリッククラウド」が成長軌道に乗る年ともいえる。調査会社IDC Japanによれば、「コロケーション」を行うDCは現在、国内の場合、70%が東京および関東6県に拠点を置いているそうだ。「ホスティング」を含めた国内DC市場は年平均成長率が37.5%で、2014年には09年の約4.9倍の1534億円市場になるという。
DCは帯域を安定的に保つため、顧客に近い場所に設置する傾向がある。となれば、地域IT産業が伸びてくれば、地方にDCが置かれ始める。前述の予測データよりも大きく成長を遂げる可能性がある。ISPのニフティは「ニフティ クラウド」を開始した。同社のIaaSの場所をDCを保有していないシステムインテグレータ(SIer)や独立系ソフトウェアベンダー(ISV)にまで提供を拡大するため、10社のパートナーが再販を手伝っている。このような動きは一気に広がるだろう。ただ、一方でDCが価格競争に突入していることが気がかりだ。技術革新の進展とともにコスト低減を実現して粗利を出せる状況でならいいが、ややもすると顧客獲得先行で収支を伴わないビジネスに陥りがち。クラウド発展の妨げにもなるので、無闇な競争は避けるべきだ。
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