IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!
<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>9.三信倉庫(上) 幹部候補の若手がプロジェクトをけん引
2010/12/22 16:04
週刊BCN 2010年12月20日vol.1363掲載
大竹社長とITCの藤田秀一氏は、もともと学生時代からの友人だったという。「IT顧問となってからは、15年近く三信倉庫とのつき合いがある」(藤田氏)。
同社の倉庫管理システムは、自社開発ですでに1960年代に導入していた。しかし、運用・保守が1人のシステムエンジニア(SE)に集中し、しかもバッチ処理中心で、物流の情報にタイムラグが生じていた。このほか、荷主と貨物ごとに個別の専用システムを構築している実態があった。
一方で、荷主のニーズは保管型倉庫からなるべく在庫をもたないスルー型倉庫に変わり、物流のIT化が進展。競争激化による低料金化の傾向もみられた。それだけではない。人材採用を不定期で行ってきた結果、幹部候補の40代の社員が極端に少ない、いびつな年齢構成になっていた。
こうした状況から、システム刷新を検討し始めた2005年当時、すでに中長期的な経営計画として「ネクストサンシンプロジェクト」が進行していた。物流業の強化や不動産賃貸事業の拡充、新規事業の開拓などがそれだ。藤田氏をはじめとするITCは、物流業の強化に向けて、単なる現行システムの刷新ではなく、経営課題から掘り下げてシステムを構築すべき、と提言した。
立ち上がった新規システム導入プロジェクトで特徴的なのは、メンバー9人のほとんどを営業倉庫現場のリーダーである20~30代の若手現場従業員にしたことだった。プロジェクトリーダーには大竹英明専務取締役が就任。藤田氏含む二人のITCが取りまとめや進行役を担った。
若手経営幹部の育成が喫緊の課題となっていたので、「経営者マインドをもってもらうことを目的とした」(大竹専務)という。藤田ITCは「ボトムアップのチームにしたところが肝。社長はオブザーバーに徹して、現場にとって使い勝手のよいシステムを検討することができた」と評価する。(つづく)(信澤健太)
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