IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>7.マイム(上) 繁忙期迎え一気にシステム刷新

2010/12/09 16:04

週刊BCN 2010年12月06日vol.1361掲載

 成人式や七五三、卒業式、結婚式などに利用される貸衣装事業を展開するマイム(田中延和社長)が創業したのは1959年。2009年に50周年を迎えた。同年、予約管理システムが本格稼働を開始し、予約関連業務を効率化。ブラックボックス化していたシステムを全面的に刷新し、安定した運用が可能となった。

 田中延和社長は、「同業者は婚礼をメインとするところが多いだろうが、当社は卒業式や成人式など幅広く手がけている」と、強みを説明する。卒業式関連が売上高の7割以上を占めており、今年は3万6000着以上の卒業袴を貸し出した。

 卒業式は、3月中旬に業務が集中する。「同じ衣装が何十、何百とあって、衣裳の登録作業のほか、着付会場の確保、予約会場への商品発送、着付け、写真撮影スタッフのスケジュール管理などが欠かせない」(田中社長)という。

 貸衣装ビジネス向けのパッケージソフトは販売されているが、婚礼向けが中心で、卒業式には対応できないのが難点だった。田中社長は「汎用パッケージの導入は難しい」と判断した。システム刷新の相談を受けた東京IT経営センターの林田雅也・ITコーディネータ(ITC)は、「マイムには婚礼と卒業式という、二つの業務プロセスがある」との印象をもったという。

 従来は、データベースソフト「Microsoft Access」で基本業務を補完。一人の情報システム担当者がアプリケーションの構築から運用まで、一手に引き受けていた。田中社長は「社員は帳票を出力するだけでもシステム担当者に頼む必要があった。担当者の負荷は大きかったと思う」と振り返る。林田ITCも「専門職の担当者に頼り過ぎていた」と問題点を指摘する。

 その担当者が退職したいと願い出た時に、問題は一気に顕在化した。ブラックボックス化していたシステムに誰も手をつけることができなかった。「急遽、東京IT経営センターに相談を持ちかけることになった」(田中社長)。

 卒業式は、大学が夏休みのさ中にある9月下旬から本格的な受注活動が始まる。繁忙期に突入する前にシステムを刷新する必要があった。09年2月にシステム開発に着手し、同年10月には本格稼働を開始することができた。(つづく)(信澤健太)

マイム本社。荻窪駅から徒歩数分の地に社屋を構える
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