IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!
<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>6.平山ファインテクノ(下) 新システムの導入効果は絶大
2010/12/02 16:04
週刊BCN 2010年11月29日vol.1360掲載
オープン系システムの導入が、こうした生産革新活動をITで支えている。ITコーディネータ(ITC)の齊藤順一・ITC横浜副理事長の協力の下、稼働を開始したのは「HOPEシステム」と呼ばれる新システムだ。複雑な納期管理に対応し、外部の協力会社とのデータ連携を強化するほか、人員配置の最適化ができるようになった。
二十数年前から稼働しているメインフレームは、生産指示や生産完了後の管理処理などを担っている。新しく導入するオープン系は、生産現場の情報を把握・管理する役割を果たすことになった。
「HOPEシステム」の導入効果は絶大だ。1件当たりの入力工数を69.8%削減し、作業記録の手書き処理は全廃。協力会社への発注入力に要する処理時間は61%削減できた。
「HOPEシステム」では、まず製品の生産指示書にICタグを付加。各工程のトレースポイントの設備1台ごとに配置してあるRFIDリーダーを、ICタグで読み込むことで、「何を」「誰が」「どこで」「いつ」生産したかを記録することができる。これまでは10工程で進捗管理していたが、30か所のトレースポイント、約90のRFIDリーダーを設けることで、トレーサビリティが格段に向上した。
ICタグの照合で、加工図面や数値制御(NC)加工情報をモニタに表示するので、手戻りによる納期遅れなどを防止する効果も現れている。出荷の最新情報は、リアルタイムにウェブ経由で配信。納品書と検査成績書を統一書式で出力することで、出荷業務の効率化を図っている。
協力会社には、ICタグを用いた発注と同時に電子メールで通知。製造データ・図面などは、ウェブEDI化し、「リードタイムを短縮できるほか、外注先も生産予定を事前に考えられるようになる」(安孫子浩樹・計画部計画課課長)と成果を話す。
今後の課題は、メインフレームの方向性であり、自社開発で補ってきたソフトウェア資産の移行だ。一方の電子タグは、資材在庫管理や入退室管理などに活用していく方針だという。(信澤健太)
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