SMBのシステム改革はこの手で! 活躍する「企業内ITC」の素顔
<活躍する「企業内ITC」の素顔>富士ゼロックス(下) 意図的に上流工程からコンサル提案
2010/08/26 20:29
週刊BCN 2010年08月23日vol.1346掲載
営業力強化推進室を担当していた宮崎晋一・ソリューション・サービス営業本部ビジネスパートナー営業部長は、「当時は、プリンタを『売る』だけでは、成り立たたない状況が生まれつつあった。顧客企業の要望を聞き、より上流工程から営業展開をする必要性に迫られていた」と、当時を振り返る。そして、ITCの仕組みを定着させることで、山本社長が掲げる「ソリューション・サービス販売」への足がかりをつかむことができたという。
ITC活動は、同社の伝統的なプログラムともリンクさせている。同社が1999年、「進化し続ける企業文化・風土を醸成する」ことを目的にスタートした社内人材育成プログラム「Virtual Hollywood」がそれだ。社員が自発的に「やりたい」というテーマを掲げ、部門を越えて連携を図り、自ら作成したシナリオを実現するというプログラムである。現在は経営側の視点も取り入れ「経営層から提示されたテーマを応募する」方法を加え、「Virtual Hollywood Platform」へと発展している。
このプログラムのなかで、本社だけでなく直系販社34社のITC有資格者は、相互にアイデアを出し、営業活動で実際に具現化している。現在、ITC有資格者のコアメンバー30人は、同社イントラ内にメーリングリストを構築し、このなかで常時アイデアを出し、具体化に向けて議論を行っている。
その先頭に立つ富士ゼロックス埼玉の今井正文・ソリューションセンター長は、「例えば、経済産業省が展開していた『地域イノベーションパートナーシップ』活動のなかで、地域の担い手として活動をしたいが、何をすべきかに悩んでいる時などに、コアメンバーから意見を聴取し、地域顧客などを巻き込んだセミナーなどを展開した」と、発案して即行動に移す体制が整ったという。「ITC同士で共通言語ができているからこそ、迅速な対応ができている。営業担当者が意図的に顧客の上流の段階から提案する動きができている」(同)と、ITCの資格を取得するメリットを指摘する。
従来は、プリンタを前面に押し出して、それを売ろうとしていた。最近は、上記の通り、顧客の状況を知るためのセミナーなどを開催する段階から入り、じっくりと顧客の要望に耳を傾け、それに応えている。人材育成を担当する奥敬祐・営業人材強化グループ長は「プリンタ周りのシステム提供すべてを、当社グループでまかなうのは無理。SIerなどパートナーと連携する必要性は高まっている。こうしたパートナーと、より上流工程から顧客へ提案するコンサルティング営業を担う人材育成を進めていきたい」という。
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