SMBのシステム改革はこの手で! 活躍する「企業内ITC」の素顔
<活躍する「企業内ITC」の素顔>富士ゼロックス(上) 随一のITC人員、営業力強化に活用
2010/08/19 20:29
週刊BCN 2010年08月09日vol.1345掲載
宮崎晋一・営業部長 |
同社がITCを増員させてきたのは、04年に遡る。当時、プリンタ業界が転換期に差し掛かり、プリンタ機器やサプライを販売する、いわゆる「箱売り」だけでは、顧客満足を得られない状況になりつつあった。
このため、同社の営業など顧客との接点がある担当者には、「箱売り」から脱却し「ソリューション・サービス販売」のノウハウをもつことが求められつつあった。
そこで、同年には「営業力強化推進室」を立ち上げ、具体的な推進方法を模索するなかでITCの「プロセスガイドライン」に着眼し、全体的な営業力を身につける人材育成体制を築くため、いまも改善を続けている。
実は、この3年前の01年から、「X's-MAP」と呼ぶ、営業スタイルの均一化を目的とした「営業メソッド」を構築する作業が進んでいた。当時、営業力強化推進室を担当し、ITC取得者の増員を旗振り役を演じた宮崎晋一・ソリューション・サービス営業本部ビジネスパートナー営業部長によれば、「(X's-MAPを)もう一段、しっかりと裏づけするために、ITCの仕組みを取り入れるべきだと判断した」という。
宮崎部長は、他のITベンダー担当者と一緒にITコーディネータ制度のカリキュラム作成に深く関与していた。自社の「X's-MAP」との整合性があり、内容的にも網羅性があったことから、早期に自社へ「ソリューション・サービス販売」を根付かせる上で、「これしかない」(同)と考えついた。
「X's-MAP」は、「X=ゼロックス」「S=ストラテジ(戦略)」「M=マーケット・マネジメント」「A=アカウント・マネジメント」「P=プロセス・マネジメント」を組み合わせた造語である。
プリンタを販売するうえで、より上流工程から入り、顧客の要望を聞く「ソリューション・サービス提供」することができることを全社で共通化することを目指したものだ。これにITCの「プロセスガイドライン」などを融合させることで、同社の営業スキームが「見える化」できたという。
ITCの取得者を増やすため、同社では受講料金などをキャッシュバックする制度にしていた。ただ現在は、全社員の1%を占めるまでITCの有資格者を増やすことができたので、同制度を利用できるには「ハードルを高くしている」(宮崎部長)という。自社の業務知識に長け、広範囲に営業経験をもつ社員に開放している。すでに同社のITC活動は、直系の販売会社が現場で役立てるまでに拡大し、営業実績にも結びついている。
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