SMBのシステム改革はこの手で! 活躍する「企業内ITC」の素顔
<活躍する「企業内ITC」の素顔>ソラン(下) ユーザー規模でITCスキルを使い分け
2010/08/05 20:29
週刊BCN 2010年08月02日vol.1344掲載
その一つに、ITCが想定するコーディネートの対象と、ソランの主要顧客の“規模の違い”が挙げられる。ITの活用度がまだ十分でない中堅・中小企業の経営者と、ITベンダーとの架け橋になることをITCでは主眼に置く。だが、ソランの主要顧客は大手金融業など、すでにITを高度に活用している大規模ユーザーが多い。「ITC理論そのままでは、大手ユーザー企業向けには合わない面がある」(ITコーディネータの荻原信一・ソランシステムコンサルティング部シニアシステムコンサルタント)と、ネックとなるところを指摘する。
結果として、大手ユーザーがメインターゲットとなる本社首都圏と、中堅・中小顧客の比率が大きい地方拠点とでは、ITCの分布図に違いが出てきている。具体的には、本社などの首都圏のITCの属性をみると約40人がSE、5人がコンサルティング系の職種が占める。これに対し、松本市や大阪市の地方拠点では、それぞれおよそ15人ずついるITCの多くは営業職が占める。首都圏ではSEが経営者の視点や考え方を身につけるためにITCが重宝されている傾向がみられ、一方、地方で最前線の営業担当者が地元企業の経営者層に向けた提案活動に役立てられていることがうかがえる。
例えば、地方で従業員100人規模の製造業ユーザーに向けては、最前線でアプローチする営業人員のITCスキルは威力を発揮。首都圏では、日頃出入りするユーザー企業の部長クラスとの会話にITCスキルは有効に働く。上級幹部は、ビジネスの迅速な可視化、経営指標の正確性、コスト削減などを強く意識する。システムを専門とするSEにとって、素のままでは十分に理解できない視点だ。ITCのスキルはこうした経営者とITシステムをつなぐものであり、「現場SEのスキルの一つとして有用」(ITCの多賀康之・ソラン総務人事室次長)と指摘する。
地域特性に合わせ、ITCスキルを使い分けることで、本業に役立てているケースといえよう。
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