SMBのシステム改革はこの手で! 活躍する「企業内ITC」の素顔

<活躍する「企業内ITC」の素顔>ソラン(上) 勉強通じて本業のスキルアップへ

2010/07/29 20:29

週刊BCN 2010年07月26日vol.1343掲載

 ITホールディングスグループのソラン(千年正樹社長)は、グループ事業会社のなかで最も多い約80人のITコーディネータ(ITC)を抱える。2007年には、同社所属のITCが中心となって届け出団体「ITCスカイウォーカーズ東京」を設立。会長にコーポレートガバナンス協会理事の田附俊雄氏を迎え、ソランの総務人事室などが事務局や運営支援を担っている。

 ソランがITCの取得に力を入れ始めたのは04年。当時、会社全体として資格取得を推奨する流れのなかで、ITCとPMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)が重要視された。ITCは経営コンサルティングや営業面で、PMPはプロジェクトの進行管理で役立つ。3年間で50人の取得を目標に対して、少しオーバーした4年ほどでITC、PMPともに目標をクリア。ITCはその後も増え続け、直近ではおよそ80人に達した。

 ITCスカイウォーカーズ東京の活動は、主にソランに所属するITCのスキルアップ。ITCらで組織される届け出団体は、大きく分けてビジネス指向と、勉強指向の2種類に分かれる。ITCスカイウォーカーズ東京は後者で、「本業であるITコンサルティングや営業、SEの仕事のなかで、ITCの理論を生かせるよう知恵を出し合っている」(ITCの荻原信一・ソランシステムコンサルティング部シニアシステムコンサルタント)と、切磋琢磨に励む。ソランでは、コンサルティングの基本フレームワークを独自に制作しており、こうした枠組みのなかにITCの勉強会で得たノウハウを反映。コンサルティングビジネスの活性化に役立てている。

 今年3月に開催した第4回定例会(ITコーディネータ協会後援)には、120人近くが集まった。都内で開催したため、ソランの地方拠点である松本や大阪の事業所に所属するITCは、テレビ会議で参加。ほかに、社外のITCも足を運んでいる。

 会社組織の中で長く仕事をしていると、どうしても同僚や直接の顧客など、特定の人とのやりとりに偏る傾向が強まる。ITCスカイウォーカーズ東京の運営支援を担当し、自らもITCの資格をもつソランの多賀康之・総務人事室次長は、「ITCの研修や勉強会などを通じ、普段、あまり接点のないユーザーや公認会計士や税理士、同業者などと接することで、新たな刺激や発見の機会なる」と、多様な価値観と触れあうことはスキルアップにとってプラスになると話す。

 ITCスカイウォーカーズ東京では、定例会や総会を含め、年4回ほどの勉強会を開催。また、インテックやTISなど、同じITホールディングスグループに属するITCと、勉強会などでの連携可能性も視野に入れる。

 次回は、実際の仕事でITCスキルをどう生かしているのかをはじめ、課題についてレポートする。

荻原信一シニアシステムコンサルタント(左)と多賀康之次長。ITC届け出団体「ITCスカイウォーカーズ東京」に参加している。
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