視点
変えてよいもの、悪いもの
2010/07/22 16:41
週刊BCN 2010年07月19日vol.1342掲載
使いやすさや使う気になることは、実は大変重要なことだ。とかく多機能や新機能に重点を置きがちで、レイアウトや操作手順などは二の次になっているケースが日本の製品には多くみられる。例えば、銀行のATMの数字の並びは各行により電卓並びであったり、その逆であったりとバラバラである。その発想がそのままインターネットバンキングの各行の画面に踏襲されるので、銀行が異なればやはり操作手順が違ってくる。
業務を電子化するときに、パッケージソフトにあわせるか、独自に開発するかがいつも問題になる。業務をソフトに合わせることができればコストは安くあがるが、そのソフトが独自の使い方を要求するものであれば、長い目でみると必ずしも安あがりではないことになる。
その点、iPhoneやiPadには、驚くほど操作に違和感がない。操作マニュアルもない。しかも押すことができるボタンはいくつもない。何回か操作しているうちにどちらのマシンも違和感なく使うことができるようになる。アプリ一つひとつは目的が異なるので説明が必要だが、基本的な操作では迷わない。
それに比べて、例えばデジタルテレビのリモコンボタンの多いこと。せっかくデジタルテレビを購入しても、ボタン操作がよくわからないため、アナログのまま見ている家庭が多くあるらしい。
日本は、高速デジタル回線の普及やパソコンの普及は進んだが、それらの利活用が進んでいない。とくに毎年の中小企業へのIT利活用調査をみても、普及は進んだものの、利活用がまだまだである。それらの原因の一つに、使い勝手の問題が潜んでいるように思えてならない。
- 1