視点

“個”ユースの「番組編成機能」がほしい

2010/06/17 16:41

週刊BCN 2010年06月14日vol.1337掲載

 試行サービスとして、今年3月から提供されているIPサイマルラジオ、RADIKOが好調のようである。ネットレイティングス社によれば、従来のメイン・リスナー層よりも若い男性を大幅に取り込んでいるという。マスメディアの衰退がひんぱんに取り沙汰されるなかで、まぎれもなくレガシー・メディアの一つとみなされているラジオが、その全盛期を知らなかった世代によって、いわば「ニューメディア」として歓迎されているということなのかもしれない。

 めまぐるしく変転するメディア動向に流されているなかで、依然としてその価値を減じていないはずのメディア文化が早々に視界から遠ざけられ、忘れ去られてしまうのが今という時代ではないか。この春、自作パソコンにテレビ・ボードを実装し、BSとCS(スカパー!e2)双方で約80チャンネルのテレビの世界を前にして、そんな感慨を抱いている。

 これだけのチャンネルに親しみ始めて間もなく気づいたことは、各チャンネルからピックアップしてきた番組で、十分に見応えのある「小林チャンネル」を編成できるということだった。しかも、このチャンネルの充実ぶりは(もちろん、高齢者の範疇に入る筆者の独断ではあるが)、地上波テレビの比ではないのである。

 目下のところ、筆者が惹かれている番組の筆頭は、BS日テレで放映されている『小さな村の物語:イタリア』(月・土夜放送)という番組である。この番組で取り上げられるイタリアの小村でも、たしかに高齢者が目につくものの、「限界集落」として崩壊寸前にある日本の多く村とは異なり、どの村の暮らしにも何か滋味のようなものが漂っていて、それが何に由来するのか考えさせられている。

 ほかには、『世界の巨大工場』の生産工程や、旅客機の圧力隔壁交換の顛末を記録した番組を提供してくれるナショナル・ジオグラフィック・チャンネル(ナショジオという)、NHKの過去番組を思いがけなく放映してくれるチャンネル銀河、時にジャズのライブ・ビデオを見ることができミュージック・エア、NHK-BSの各種ドキュメンタリー、ニュース・チャンネルのCNNとBBCなどが「小林チャンネル」の主力番組ということになろうか。

 目下の希望は、広大な番組世界から筆者好みの番組を探り出して来てくれ、筆者の「番組編成」活動をサポートしてくれる「仕掛け」がないかということである(ビデオ録画支援サービスとでもいえるTiVoはそのようなものかもしれないが)。
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外部リンク

RADIKO=http://radiko.jp/