視点
日本のITベンダーよ、いざ中国へ
2010/06/10 16:41
週刊BCN 2010年06月07日vol.1336掲載
日本企業の「中国流出」に伴って、こうした企業のIT環境の導入・保守サポートを行うITベンダーの中国進出も顕著になっている。中国に拠点を構える日系企業に限ったIT需要は、一説では5000億円にものぼるといわれている。日本のIT産業は15兆~19兆円とみられる。依然としてIT産業の規模では日本国内が上回っているが、中国の成長と日本のIT産業の成長鈍化を勘案すれば、日本のITベンダーは早期に中国へ出向いて現地での経験を積む必要があるだろう。
日系企業が中国でビジネスを展開する際に立ちはだかる難題は少なくない。現地法人がITシステムを導入する時に留意する点が多いからだ。パソコンに搭載されたOSやOffice、CADなどを中国で購入すると、知らないまま「非正規版」を使ったり、中国(海外)で使える使用許諾になっていないことなど、日本でITを導入するようには、事は簡単に運ばない。
こんな実態もある。中国政府は2001年のWTO加盟で、「著作権保護」などの法律を大幅に修正した。これ以降、法律は徐々に強化されている。いまでは、政府の「版権局」がソフトの違法コピー製品を導入した悪質企業に対する行政処罰を強化し始めている。この抜き打ちで行う取り締まりの対象として、日系企業が“狙われる”ことが多いというのだ。
中国で正規に購入したはずのソフトが「不正コピー」であることは珍しくない。“確信犯”ではないのに、処罰を受ける危険性が増している。だからこそ、日系企業は、こうした事故を防ぐためにもIT環境をサポートしてくれる「信頼できるITベンダー」を欲している。日本のITベンダーには、国内で自社製品を導入してくれた企業が中国拠点でも同質のサポートを求めるケースが増えるだろう。
日本貿易振興機構(JETRO)によれば、日本企業の7割は「中国」を新規投資対象先としている。先に述べた難題を恐れて、見もせずに中国市場がビジネスに直結しないと考える日本のITベンダーはまだ多い。だが、すでに日系企業だけでも、こうしたニーズが出てきていることは見過ごしにはできないだろう。
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