SMBのシステム改革はこの手で! 活躍する「企業内ITC」の素顔
<活躍する「企業内ITC」の素顔>アイディーエス(上) ITCの提案生かしてシステムを受注
2010/05/20 20:29
週刊BCN 2010年05月17日vol.1333掲載
ITCの資格を取得しているのは、ビジネスシステム本部長を務める福田清男取締役。福田取締役は、「単に技術力があるだけでは、今はシステム案件を獲得することは難しい。ユーザー企業ごとに経営の側面からシステムを提案していかなければならない」と訴える。同社では、どのようにユーザー企業が成長できるかを踏まえてシステムを提案しているのだ。
同社は1978年3月に設立。もともとは、日本ユニバック(現・日本ユニシス)が獲得したオフィスコンピュータ(オフコン)関連の案件で、システム構築からサポートまで行うことをビジネスのメインに据えていた。導入実績は200社以上に達したという。菅原達哉社長は、「多くのシステム案件で構築からサポートまで一環して請け負ってきた実績が当社の持ち味」という。日本ユニバックからの受託案件とはいえ、導入企業と深い信頼関係を築いたわけだ。菅原社長は、「当社には、長い年月を経て培ったノウハウが浸透している」とアピールする。
そんな同社にも転換期が訪れた。オフコンからオープン化への移行の波が押し寄せた頃、オフコン案件の受託というビジネスモデルの改革を余儀なくされる状況になった。そうした経緯から、ERPパッケージ「GRANDIT」の販売を手がけるようになる。このERPパッケージを核とするSI部隊を統括するのが福田取締役だ。「『GRANDIT』を担いでいるITベンダーは多い。そういった意味でも当社の持ち味を生かすために、ITコーディネータの資格を活用した提案を行っている」としている。
自社開発にも着手した。社内で貸付金や借入金の管理を行いたいけれどもシステムの価格が高すぎるというユーザー企業の不満に対応した製品だ。貸付金管理システムの「LIBERTE」と借入金管理システムの「COURAGE」がそれで、他社製品と比べてリーズナブルな価格で提供。自社製品の販売を中心に据えるシステム営業本部の菊池清信取締役本部長は、「大規模な上場企業をはじめ、中堅企業や中小企業からも問い合わせがきている」という。
このような経緯から、今では自社でSI案件の獲得に力を注ぐようになった。「LIBERTE」や「COURAGE」については、自社で販売していることに加えて取引先の日本ユニシスが販売代理店を経由して販売するケースもある。菅原社長は、「これまでの実績と(福田氏の)ITCとしてのノウハウを重なって首都圏でのビジネス基盤が固まった」と自信をみせる。そのため、次のステップとしてITCのノウハウを生かしたビジネスに着手しようとしているのだ。
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