SMBのシステム改革はこの手で! 活躍する「企業内ITC」の素顔

<活躍する「企業内ITC」の素顔>プロローグ 7割のITCがベンダーに所属

2010/05/06 16:04

週刊BCN 2010年05月03日vol.1332掲載


 社内に在籍するITコーディネータ(ITC)の資格を保有する技術者やプロジェクトマネージャーを活用して、システム案件を獲得しようとするITベンダーの動きが活発になっている。

 世界同時不況の影響により、ユーザー企業の多くがIT投資に慎重な姿勢を示している。効果が曖昧な投資はしたくないという考え方が支配的だ。要するに、経営の視点からのIT化を推進できる能力のある人材にシステム構築を委ねたいということだ。ここに、ベンダー内ITコーディネータ(ITC)の出番があるということになる。

 ITコーディネータ協会のデータによれば、2009年3月31日の時点でITC資格保有者は6523人。そのうち全体の7割近くがITベンダーに在籍しているという。このような状況を鑑みると、ベンダー内ITCが果たす役割は大きいといえそうだ。

 そのため、協会ではITベンダー内のITCが有効に活用されることに期待しており、支援策として活躍できる場の提供などを推進している。

 一つは、ITCの役割を訴えるプロモーションだ。協会ではITCの位置づけについて、システム開発に長けているだけでなく、「コミュニケーションのプロ」と定義する。プロモーションでは、ITCが国内市場でユーザー企業などが抱える問題を的確に応えられるということを積極的にアピールしていくようだ。

 実際、ITCがユーザー企業の経営者と直接交渉し、経営改革を踏まえたIT化を図る動きがITベンダーのなかで出てきている。社内の優秀なITCを集めてコンサルティング部隊を設置しているITベンダーも出始めた。また、ITベンダーの社内で、例えば営業担当者と技術者のコミュニケーションを活発化させる必要があり、その間にITCが入れるはずだと、協会では期待している。ITベンダーのなかには、マルチな人材を育成するために営業担当者や技術者に限らずITCの資格取得を推進しているケースもある。さらに、ITCの資格取得者を増やすことで戦略的に事業を拡大する動きも相次いでいる。

 これまで本紙では、ユーザー企業とITベンダーをつなぐ「独立系ITC」の導入事例について掲載してきた。本連載では企業内ITCにフォーカスし、ITベンダーのITCが社内でどのような業務を遂行しているのか、またベンダーがITCをどのように位置づけているのかを検証していく。

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