視点
3Dのキラーコンテンツは何か?
2010/04/22 16:41
週刊BCN 2010年04月19日vol.1330掲載
先日、スカパーで準備情況を取材した。興味深かったのは、どんな素材をどのように撮影すると、快適で興奮する3D映像が作れるかの実験だった。「映画番組はコアなユーザーがいるけれども、3Dのセグメントとしては狭いです。スカパー!HDは、“ライブ”に主眼を置きます。スポーツ、音楽ライブは多くの人が楽しめますからね」と担当者はコメントした。
実験を重ね、コンテンツごとに3D映像のもつ意味が違ってくるのが分かったと、その担当者は言う。スカパーは格闘技の中継に強い。3Dでは熱いバトルを、2Dよりはるかに臨場感豊かに見ることができる。対戦相手との間合いが3Dになって初めて、実感として立体的に把握できるからだ。こんなに離れているのに、見事な一撃だ――と、3Dならではのリアリティを感じることができる。
ゴルフも、3Dに絶好なコンテンツという。遠景ではコースの起伏がリアルに認識できる。池、土手、木々といった障害物の位置関係、遠さも実感として分かる。コースの難易度も、画面から明確に判断できる。ティーショットでは芝目がどちらの方向に向いていて、ホールとの距離がこのぐらいでという情報が、体感できる。ゴルフの楽しみの一つ、芝読みの醍醐味を居ながらにして味わえるのだ。
取材で、いくつかのテスト映像を見せてもらったが、コンテンツ的に絶対に3Dだと思ったのが、アイドルものだ。水着のアイドルさんにカメラが迫るという映像だが、肉体的な立体感が、「眼前の立体感」で迫ってくる。アイドルものの場合は、変な言い方だが、「映像効果」がコンテンツのすべてだから、3Dには向くのである。その対極にあるのが、音楽ものだ。とくにクラシックはよろしくない。あまりに3D効果が素晴らしいと、そちらに神経が集中してしまい、肝心の音楽が聞こえていても聴いていない状態になるからだ。それは本末転倒というものだ。ただし、ポップス系の「見る音楽」は向いているだろう。
3Dカルチャーが本物になるためには、キラーコンテンツの開発が絶対条件である。
- 1