IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>134.小坂工務店(上)
2010/04/15 20:45
週刊BCN 2010年04月12日vol.1329掲載
トップダウンのIT経営改革を実行
青森県三沢市で1958年6月に創業、50年余の歴史をもつ小坂工務店(小坂仁志社長)は、建設業を主軸事業に、不動産仲介・販売・賃貸業、携帯電話販売業を地元密着型で展開している。得意先の数は100社にのぼる。小坂工務店は、2000年に文書管理システムを、08年にこのシステムをベースとして、工事進行基準対応システムを構築した。文書管理システムで顧客満足度の向上、事業継続を実現し、さらに工事進行基準対応システムによって工事の進ちょくごとに収益を計上することで、つぶさに会社の経営実態を把握することができるようになった。この結果、建設現場の責任者一人ひとりに赤字工事を縮小するための経営目線での管理意識が定着しつつある。
小坂工務店のIT化は二代目社長の小坂仁志氏がトップダウンで推し進めてきた。スタートは1991年の財務システムの電算化だった。その後、品質を管理・維持するための仕組みを構築するための国際規格「ISO 9001」が1994年版から2000年版に改定されるに伴い、電子文書にも対応したことをきっかけに、文書管理システムを導入した。小坂社長は「ISO対応と事業継続のために設計図、手順書、受発注伝票といった一連の業務の流れにかかる書類を保管しておくため、ハードで1000万円の投資をした。『ISOなんてなぜ取得するのか』『文書のスキャンが面倒だ』と社内の反対もあったが、ITがなければ仕事ができないように改革し、結局のところ社員もしばらくするとITの必要性を理解したようだ」と振り返る。
文書管理システムで採用したのは、富士ゼロックスの「DocuWorks」。「たまたま文書管理を行おうと思っていたところに、富士ゼロックスの営業担当者が売り込みにきたので、そのままDocuWorksを採用した」と笑う。
1993年には3台のPCでLANを構築するなど社内におけるIT改革を矢継ぎ早に進めていった。だが、トップダウンによる施策の断行に限界を感じ始めた小坂社長は、第三者の意見を聞こうと、日本政策金融公庫の青森支店に相談。そこから紹介を受けて、IT経営応援隊が開催した、経営者研修会を受講した。そこから、さらに財団法人21あおもり産業総合支援センターのIT経営成熟度診断を受けた。そのとき、派遣されたのが青森で活躍するITコーディネータ(ITC)の澤田徳寿氏だった。2008年10月、澤田ITCは、社長以外の全社員を対象にして、顧客企業自身が経営課題とビジネス競争力を自己診断できる簡易診断ツールを使って、IT経営成熟度を測り、社内の意思統一を図っていった。
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