視点
大手再編で地場ベンダーにチャンス到来
2010/03/25 16:41
週刊BCN 2010年03月22日vol.1326掲載
こうした再編は、国内企業のITシステムが「統合」へ向かう方向性と無縁ではない。中堅・大手企業の地方に分散していたITシステムは、首都圏などへ集約されつつある。従来、地方拠点の判断でシステム開発していたITの「部分最適」を、本社で一括発注するケースが増加。この傾向が強まれば、大手ベンダーが地域拠点を置き、現地で直接的に販売促進する必要性が薄れていく。一極集中型のクラウド環境が普及するにつれ、この動きはさらに顕著になるだろう。
最近の動きとしては、リコーが現在7社(リコー販売など)の国内販売会社を合併すると発表。基幹系システムのITインフラを提供するメーカーのなかでは、日立製作所が上場3社を子会社化して吸収し、総合力を引き出す戦略に出た。富士通は、上場企業の富士通ビジネスシステム(FJB)を子会社化して中堅企業ビジネスを一手に賄う集団に仕立てる計画だ。NECなどでも同じような動きが出てきている。吸収されるベンダー側や「商流」が変わることを恐れる代理店からの反発は鮮明になっているものの、再編の流れは止められそうにない。
こうした大手ベンダーの再編が進むことに対して、地域のIT市場に「商機」が訪れるとみる向きがある。再編により大手ベンダーは、全国規模で事業展開する中堅・大手企業の受注活動の対象を「本社」に向けて積極化することになる。これにより、大手ベンダーの拠点営業が地元に目を向けなくなる。ただでさえ手をつけていない地域の中堅・中小企業案件に見向きもしなくなる可能性はある。
地場ベンダーの多くは、地元案件が大手ベンダーに取られている分を補うため、県外(領域外)へ市場を求めて活動を展開している。一方で、地元の一般企業では、安価にシステム提供してくれる地場ベンダーに発注しようというニーズがある。だが、厳しい要件に応えられない地元ベンダーが多く、仕方なく人月単価の高い大手ベンダーに依頼しているのが実際のところだ。地場ベンダーには、こうした要件をクリアできる開発スキルをもつことで、地場市場を活性化できるチャンスが訪れたといえる。
- 1
関連記事
リコー、販社7社統合し「リコージャパン」設立、その狙いとは何か