IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>131.イワセキ(上)
2010/03/25 20:45
週刊BCN 2010年03月22日vol.1326掲載
丸全社システムの統合へ
イワセキの佐藤大輔社長は、「新しい成長を期してIT化を進め、社員の意識改革を図ることは、経営上、欠かせない」と強調する |
石油製品の販売会社として設立されたイワセキは、「トータルカーケア」をコンセプトに事業を拡大。今では、ガソリンの販売をメインとするSS(サービスステーション)事業をはじめ、自動車整備事業、新車や中古車の販売事業を手がけている。損害保険代理店も営んでおり、さまざまな角度からカーユーザーに対して最適なサービスを提供している。従業員は60人あまり。規模の大きな会社とはいえないが、優秀な人材が揃っている“少数精鋭集団”として、地元では知名度が高い。
そのイワセキが重視しているのが、各事業の顧客情報を連携させること。佐藤社長は、「当社が手がける事業を生かして新しい提案を行っていくことが、これからの経営戦略上のポイントになる」と自覚している。SSを訪れた顧客に、車の整備や車検なども提案する。また、同社が手がけている事業を生かせば、新車や中古車を薦めることも可能だ。ただ、顧客が欲しているタイミングで提案しなければ、効果がないと判断している。社内に蓄積している顧客情報を各事業で共有できる環境を整備する必要がある。そのためには、顧客管理システムの導入などのIT化が欠かせないと考えているわけだ。
イワセキには、IT化が必要と判断する人材が佐藤社長以外にも何人かいる。そのなかの一人が、SSを統括する高橋昭義・SS統括部長だ。「IT化するといっても、どのように進めていくのが最適なのか」。高橋部長が掲げていた課題だ。この解決を、岩手県奥州市を本拠地とするSIerのアイディーエスに依頼。イワセキの高橋部長は、以前から知り合いだった、ITコーディネータでありアイディーエスのビジネスシステム本部取締役本部長を務めるITコーディネータの福田清男氏に相談したのである。二人は、約4年前にバランススコアカード関連の研修会で知り合ったという。「高橋さんから話を聞き、まずは経営革新を含めたコンサルティングを行ってから、次のステップでIT化を図ることが最適と判断した」と、アイディーエスの福田取締役は振り返る。
イワセキの経営革新を実現するために、コンサルティングに着手。昨年9月には、佐藤社長をトップに据えて9人で構成するプロジェクトチームもイワセキの社内に発足させた。これにより、アイディーエスとイワセキの二人三脚によるIT化が始まったのである。
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