視点
「違法ダウンロード」に罰則規定がない理由
2010/02/18 16:41
週刊BCN 2010年02月15日vol.1321掲載
改めて解説すると、日本の著作権法においては、原則として権利者の許諾なく著作物を利用することはできない。ただし、例外的にその権利を制限し、著作物を許諾なく利用できる規定(権利制限規定)が設けられている。その一つが第30条の私的使用目的の複製で、「個人的にまたは家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する」ためであれば、権利者の許諾なく著作物を複製することができる。自分で楽しむために、テレビ番組をHDDレコーダーなどに録画することが自由にできるのはこのためだ。同様に、インターネット上で違法にアップロードされた著作物であっても、ダウンロードして入手(複製)する行為も、これまでは私的使用目的であれば適法とされてきた。
しかし、著作物を入手する人がいるからこそ権利者の許諾なくアップロードする人がいることを考えると、違法なものだと知りつつ入手する行為が問題とならないのはおかしい。
そこで、権利者に許諾なくアップロードされた著作物が、違法なものであると知りながらダウンロードして録音・録画する行為を「私的使用目的の複製」の範囲から除外することになったのが、いわゆる「ダウンロード違法化」である。この改正によって、権利者の許諾なくアップロードされていることを知って行う音楽や映像のダウンロードは違法になる。
この改正について、マスメディアも報道しているが、とりわけ、ユーザーと接する販売店の方々には十分に理解をして欲しいと思う。
現在のところ違法とされるのは、「違法にアップロードされたものと知っている場合」に限られる。違法なダウンロードとされないためには、権利者や配信事業者が付しているLマークがあるなど、正規なサイトを利用するよう啓発してほしい。また、この改正による違法化に罰則は設けられていない。これは、罰則を設けるほどの違法ではないという意見もあるが、それよりも違法と規定された行為を多くのユーザーが意図的に行うはずはなく、違法なものを避けるようになるだろうと考えているからだろう。
こうしたことを踏まえると、販売店の方々には、コンテンツビジネスを守るためにも、今回の改正ポイントの正確な情報を一般のユーザーに正しく伝えて欲しいのである。
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