IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>119.ライフステージ(下)
2009/12/17 16:40
週刊BCN 2009年12月14日vol.1313掲載
知名度や信頼性で業績アップへ
不動産会社のライフステージ(杉山善昭代表取締役)が、主力のウェブビジネスを軌道に乗せることができたのは、経営戦略からIT化のあるべき姿を想定し、ウェブサイトを中心とした新しい不動産ビジネスモデルを構築すべきとのアドバイスをITコーディネータ(ITC)の阿部満氏から受けたことが大きな要因だった。「阿部さんからは『ウェブビジネスは必要なものだけを入れればいい。今のままで大丈夫』というアドバイスをもらって、自信がついた」と、杉山代表取締役は阿部ITCの的確な指摘や評価がウェブビジネス拡大につながったことを強調する。また、阿部ITCは杉山代表取締役にIT経営関連の研修を受けることも提案したそうだ。「ITは、あくまでもツールで、自社の強みを生かして事業を拡大してもらいたい」(阿部ITC)と考えたからだ。というのも、杉山代表取締役は宅建主任者に加え、不動産技能コンサルタント技能登録者、住宅性能評価員など10種類もの資格を取得している。「杉山代表取締役には、不動産関連のコンサルティングが行えるノウハウがある」と、阿部ITCは評価。ウェブで物件の長所と短所を記載するという他社とは異なった物件情報を配信することに加え、コンサルティングを武器に他社との差異化を図るわけだ。
杉山代表取締役は「不動産協会の不動産相談員として、消費者だけでなく不動産業者にも対応することもある」と語る。そもそもウェブビジネスに着手したのは、コンサルティングを事業柱に据えたいからだという。「不動産関連の“医者”になることが目標」(杉山代表取締役)としており、そのために店舗に来店しなければ消費者が物件を把握できないといった不動産業界の慣習を打破するためにウェブを立ち上げた。こうしたコンセプトを阿部ITCが改めて思い起こさせたのだ。阿部氏がITコーディネータの立場で「経営」という観点から業務効率化や攻めの戦略に向け、ライフステージに対して再度ITビジネスのメリットを訴えたことになる。
IT関連での課題は、「顧客情報をはじめとした当社に蓄積されているデータを一元的に管理できるシステムの導入を模索している」と、杉山代表取締役はいう。販売元や情報センター、一般売主からの物件情報をデータベース化し、消費者や法人、建築関連メーカーなどの顧客データベースとマッチングを行う。各顧客に適した情報配信をIT化で実現したい考えだ。このシステムを導入することで「的確な情報を提供するサイトとして知名度の向上を図る」と、杉山代表取締役は意気込む。加えて、コンサルティング事業で顧客からの信頼度を高めていく方針。こうした自社の強みを生かすことで、成長を遂げるというのが、ライフステージが目指す方向性なのだ。(次回はまとめ)
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