IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>111.「IT経営力大賞」シリーズ 八州電工(下) 全体最適化を追求する
2009/10/22 20:45
週刊BCN 2009年10月19日vol.1305掲載
同社がIT化を進めているのは、効率化で各担当者がそれぞれの主要業務に専念できることを目的としているからだ。高野取締役は、「ITシステムを導入したことで逆に業務が滞るのでは意味がない。できるだけシンプルに操作できることが重要」と考えている。社員が使いやすいと実感できるものに絞り込んで採用しており、基本的には手作り開発やカスタマイズを行ったという。とくに工場などの現場では、タッチパネルで簡単に操作できる端末を設置した。「従業員への指導にも工夫した。まずモデル工場を作ってテスト的に稼働させて成功させてから、その工場の従業員が、ほかの工場で操作方法などを教える」といった段階を踏んだ。実際の使用者が伝授したため、工場内でIT活用がスムーズに広まった。全面リプレースの稼働後には、「情報システム課」を組織化。同組織で自社システムの保守やサポートを手がけているほか、システム増強に力を入れている。
また、「営業と工場をつなぐ中間的な組織として『業務部受注センター』を設置する」と、高野取締役は話す。本社で工場の稼働状況を把握して割り振り、受注案件を効率よく納品することが目的だ。新組織の設置にともない、工場の作業状況を管理できるシステムを導入する計画。さらに、将来的には「製造原価の数値化も検討していきたい」考えで、新システムの構築を模索する。
そのほか、新規顧客を開拓するIT化にも取り組んでいる。ホームセンターとの契約で、店頭に「まちのかじやさん」と呼ばれるタッチパネル式の専用端末を設置。ホームセンターを訪れる消費者や個人事業者を対象に、規格品や特注品の注文を受ける仕組みを構築したのである。同社を担当しているITコーディネータの森紘一郎氏は、「業務の『見える化』に積極的で、IT化に要求レベルが高い」と評価する。こうした前向きな姿勢のユーザー企業は、ITベンダーの製品開発やシステム構築などに大きな刺激を与える存在だ。(次回は旭鉄筋)
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