地場有力ITベンダー 未来を語る

【埼玉県】システムインテグレータ 県内に固執せず全国展開がモットー

2009/10/07 20:42

週刊BCN 2009年10月05日vol.1303掲載

 「地域活性化に地場ITベンダーの果たす役割」とは何か。創刊1300号を数えた「週刊BCN」では、このテーマを掲げて全国巡回取材を敢行し、47都道府県の有力ベンダーの代表者からナマの声を拾った。最終回となる第4弾をお届けする。  地域経済格差が広がるなかで、地場の中堅・中小企業を活性化させる“源流”となるのはITであることを確信している。地場ITベンダーが地域活性化で果たすべき役割はますます大きくなっている。はたして各社は、この重要な役割にどう応えているのか──。

梅田弘之 代表取締役
 埼玉県は、製造業と外食産業が多く、ITベンダーの数が東京都や神奈川県などの近隣県と比べて少ない。しかしながら、ユーザー層に偏りがあるわけでもなく、ビジネスを展開するうえでの独特の事情もない。特徴という特徴がないのが埼玉県の市場環境だ。強いてあげる特徴とすれば、東京都と隣接していることだろう。都内のユーザーを獲得するための距離的ハンデをほとんど感じずに、仕事を獲得できることだ。

 さいたま市に本社を置く当社も、埼玉県内のユーザーよりも、東京都を中心とした他県のユーザーのほうが圧倒的に多い。比率は埼玉県内が10%、埼玉県を除く関東圏が70%、それ以外が20%となっている。大阪に支社を置いているため、西日本のユーザーも多い。自社開発パッケージソフトは、直販と間接販売で展開しているが、埼玉県の販売パートナーは1社もいない。県内のユーザーに間接販売した実績もあるが、これは東京のパートナーを通じてのものだ。パートナーも当社が埼玉県に本社を置くことにデメリットを感じていないはずだ。今のところ、東京に本社を置くSIerと同様に、首都圏でビジネスを展開することができている。

 埼玉県に本社を置くメリットもある。それは人材採用面だ。以前は本社が埼玉県というイメージから、人材を採用しにくいこともあった。ところが、今は逆だ。通勤ラッシュに揉まれるのはイヤだとか、家賃を安く抑えたいということで、埼玉県内や北関東に居を構える人が当社に入社を希望するケースが増えてきたのだ。今では、全従業員約120人のうち、70%を埼玉県在住者で占めている。

代表者…梅田弘之 代表取締役
売上高…20億540万円
利益率…1300万円(経常利益)
主要顧客…製造業、小売業など
ハードとソフトの比率…0.5:9.5
県内・県外比率…1:9
 距離的ハンデもなく、採用も順調で、オフィスの賃貸料金が安い埼玉県を離れるつもりはまったくない。そうはいっても、市場としてはやはり都内のほうが魅力的だけに、今後も埼玉県のユーザーに固執するのではなく、海外を含めて他県でのビジネス拡大を目指す。当社は県内ITベンダーのなかで唯一の上場会社。埼玉県のITベンダーとして、全国に存在感を示したい。
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外部リンク

システムインテグレータ=http://www.sint.co.jp/