IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>107.「IT経営力大賞」シリーズ タプロス(下)
2009/09/21 16:40
週刊BCN 2009年09月21日vol.1301掲載
LPガス事業者であるタプロスのシステムリニューアルによる業務プロセスの改善は、ASTコンサルタント代表取締役でITコーディネータ(ITC)の大澤昌氏のコーディネートによって実を結んだ。タプロスと大澤ITCの関係は、馴れ合いを避けるために1年契約というものだったが、出会いから4年ほど経過した今も続いている。「大澤さんが業務プロセス以外でもプロジェクトのアドバイザーとして当社を支援してくれているから、契約を更新している」と、タプロスの木村繁社長は理由を語る。
大澤ITCが具体的にアドバイスしているプロジェクトは、情報セキュリティの取り組みをはじめ、新規事業の創造、展示会への参加やチラシ制作などだ。新規事業については、水の宅配サービス事業が実現した。同事業では、富士山麓の地下203メートルから汲み上げたバナジウム天然水を家庭やオフィスなどに届けている。新型の使いきりボトルを採用しており、専用サーバーは冷水や温水に対応している。価格は、500mlあたり約71円で、12L単位で販売している。
LPガスを主力事業する同社にあって、水の宅配サービスはまったく異なる分野の事業とも思えるが、「実は密接な関係がある」と、木村社長は説明する。水はLPガスと同様に、日常生活で必要なものだからだ。「顧客に対して“暮らしのライフライン”を提供していく」というコンセプトで事業化したわけだ。その観点に立って、「燃料電池など電気に関連する事業も展開している」という。さらに、石油関連事業にも携わっている。こうした取り組みで、同社は事業LPガス関連に加えて水と電気、石油の事業を四本柱として整えたことになる。
システム関連では、自社開発のものをITベンダーに依頼して大規模なリプレースしてから相当な期間が経過していることもあって、今でも増強に力を入れている。「システムで需要予測が行えるようにする」(木村社長)。このシステム増強は、同社と大澤ITCの二人三脚で取り組んだ結果である。
大澤ITCは、「システムリプレースの当時は、タプロスさんのシステム担当者が技術者になろうとしていた感があった。今は、ITをあくまでも業績拡大に向けたツールの一つと認識しているのではないか」とみている。だからこそ、同社はITシステムのリプレースによる業務プロセスの改善を大澤ITCに依頼しただけでなく、ビジネスモデルの強化でもアドバイスを受けているのだ。「今年8月20日には、当社の4事業を集結したショールーム的な意味合いをもつ営業所を開設した」と、木村社長は満足そうに話す。ショールームの設置は、同社にとって初の試みだ。さらに成長するための布石を打つことに余念がない。
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