解剖!メーカー流通網
<解剖!メーカー流通網>30.ターボリナックス 国内と中国市場を網羅
2009/08/31 20:45
週刊BCN 2009年08月31日vol.1298掲載
開発でも中国リソース活用
ターボリナックス(矢野広一社長)が販売する「Turbolinux」の開発・流通網は、国内だけにとどまらず、中国市場にまで広がっている。開発面では、中国のソフト開発ベンチャーである普華基礎軟件股分有限公司(普華社)と共同で出資したターボラボが請け負う体制を今年8月に築いた。従来は単独で開発していたが、新会社の誕生で投資を二分することが可能になり、「年間2億円ほどの研究・開発費用を削減できる」こととなった。
一方、販売・流通は、まず日本ではソフトバンクBBやダイワボウ情報システム、丸紅インフォテックなどの有力ディストリビュータ経由で、サーバーメーカーやSIerが調達し、ユーザー企業に販売するという一般的な仕組みを敷く。サーバーメーカーでは、日立や富士通、日本IBM、NECが名を連ね、自社のハードに「Turbolinux」を組み込んで商品化し、ユーザー企業やSIerに販売するのがメインの流通経路だ。ユニークな分野では、三洋電機にOEM供給しており、三洋は医療システムに同社製品を活用して販売している。
中国は北京市と上海市にそれぞれ設置する現地法人から、ユーザー企業や中国のITベンダーに届ける体制を構築している。中国市場では、中国石油や中国工商銀行、中国移動などが主なユーザー企業で、シェアは中国のLinuxディストリビュータであるレッドフラッグに次ぐ2位。世界シェア1位のレッドハットよりも上で、日本市場以上に好調だ。
Linuxを含めたオープンソースソフトウェア(OSS)は、着実に普及するが、ITベンダーにとってはビジネスに結びつけるのが難しい状況だ。Linuxプロダクト事業は、国内市場はかなり厳しく、「長期的な視点では、状況次第で撤退の可能性も否定はしない」と矢野社長も認める。だが、「中国は日本より5年遅れの市場でまだ需要はある」と、国内だけでなく、中国を含めた市場で伸ばそうとしている。(木村 剛士)
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