視点
見えはじめた「高度IT人材育成共同教育」の成果
2009/05/25 16:41
週刊BCN 2009年05月25日vol.1285掲載
このプロジェクトは、約半年にわたる集中的かつ継続的な指導によってITリーダーの育成(いわばエリートの育成)を目標としており、前記の基本方針を、6高専7名の教員とマイクロソフトのスタッフによる「IT教育プロジェクト委員会」が実践するという体制をとった。
プログラムの第一弾は、昨年8月に八王子市で開催された二泊三日の「ITリーダー育成キャンプ」。このてん末は、多くの紙上で紹介され、目にされた読者も多いと思われるが、とにかく大きな反響であった。二倍強の競争率を突破して参加できた全国からの高専学生21名に対してのカリキュラムは、ロジカルコミュニケーション、プロジェクトマネジメント、チームビルディング、マーケット分析、リーダーシップトレーニング、プレゼンテーションスキルなどである。テクニカル面の向上ではなく、優れたプロダクツを制作するうえで必要な知識や、リーダーとしてのスキル向上を目的とした内容に、最初は戸惑い気味だった学生も終盤では大きな満足感を抱いていた。
このプログラムの重要な点は、受講学生が、この集中講義の収穫を各出身高専に戻って伝え、チームを編成して独創的なソフトウェアを開発することにある。この間の教育・指導は、先述の委員会がネットワーク越しに行った。
成果がどのように現れるのか、今後が楽しみである。参加学生のなかには、すでに上記の条件を満たし、オリジナルのアプリケーションソフトを開発して、企業が注目する存在になっている者もいる。開発過程を目にしていたその企業の社長は、「理想的なIT人材」と絶賛し、共同開発を申し出ているのだ。当該学生の「リーダー育成プロジェクトのおかげです」という言葉は、設計された教育体系の重要さ、そして産業界と教育界の共同教育の大切さの証しに思える。
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