解剖!メーカー流通網
<解剖!メーカー流通網>15.富士通 医療ITの販売網で強み
2009/05/04 20:45
週刊BCN 2009年05月04日vol.1283掲載
診療所から大病院までカバー
富士通は、電子カルテなど医療業界向け情報システム(医療IT)で強みを発揮する。電子カルテでは30%余りの販売シェアを誇り、トップクラスだ。診療所から大規模病院までのフルラインアップで医療IT商材を揃え、全国に張り巡らした販売網に富士通の強さの理由がある。販売網の内訳は、(1)富士通ブランドを冠した直系販社(2)全国系の有力ビジネスパートナー(3)地元に密着した地域のビジネスパートナーなど。大規模病院に向けては富士通自身による直販も手がける。直系販社では富士通エフ・アイ・ピーや富士通ビジネスシステム(FJB)など。全国系ビジネスパートナーでは都築電気やキヤノンITSメディカル(旧FMS)など。地域系では鹿児島の日本システム、大阪の医療情報システム、中部のトーテックアメニティ、秋田のシグマソリューションズなどが挙げられる。キヤノンITSメディカルは、2009年1月にキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)の医療事業部門とキヤノンITSグループの旧FMSが統合して発足。旧FMSは診療所向けの電子カルテに強く、同領域でトップクラスの富士通製品の販売実績を誇る。
患者の診察結果を書き込むカルテは情報の発生源であり、医療ITで最も重要な部分の一つ。だが、現実には大規模病院でも普及率は6割程度と低く、導入していても地域の診療所や介護施設などとの情報連携まで手がけているケースは少ない。「十分に活用されているとは言い難い」(富士通の山路雄一・ヘルスケアソリューション事業本部副本部長)状況である。富士通ではこの4月、電子カルテに精通した専門要員による24時間サポートサービスや、電子カルテに蓄積したデータを診療に役立てる仕組みなどを強化。電子カルテの活用を後押しする施策を打ち出す。電子カルテの普及率が100%に達するまで、あと2兆円規模の巨大な潜在市場があるとみられている。富士通では豊富な品揃えと充実した販売網を駆使し、ビジネス拡大に努める方針だ。(安藤章司)
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