IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>90.「IT経営力大賞」シリーズ・第二弾 湘栄産業(下)
2009/04/27 16:40
週刊BCN 2009年04月27日vol.1282掲載
作業の全体最適化にITを有効活用

現システムは、「こうした物理的な作業を改善することや、事務作業を効率化する全体像を描く過程で、プラスアルファとして出てきた」(野澤ITC)という。けっして「ITありき」でシステム導入したわけではない。約1200万円で構築したこのシステムの導入以前は、同社指定のExcelベースの発注用伝票に取引先が手書きで記載したものをFAXで受け取るやり方をとっていた。そして、事務担当者がそのFAXを見て科目コードを探してパソコンに打ち込むという、非効率でミスが多発する作業を行っていたのだ。
「東京進出」で資材の物量が増え、作業量は増すばかり。加えて、3年前に開設した東京営業所などとFAXでやり取りする間には「(発注書の)文字がかすれ読みにくく、数量の間違いが多発した」と、藤井尚之・リース事業部長は、当時の苦労を振り返る。
FAXでの社内連絡は、湘栄産業内の事務作業を非効率化すること以上に、誤発注など取引上で問題を引き起こす危険性があった。「(東京進出で)物量が増えた分、『再リース』という形で、不足分を他のリース会社に引き受けてもらうことがある」(藤井部長)ことから、再リース先に迷惑が及ぶ。数量などの受け入れ・返却時の検品を厳重に行う大手ゼネコンが取引先の場合、トラブルを繰り返せば「取引停止」になりかねない。

将来的には、Webシステム上から注文を取り、管理システムと連携させることも視野に入れているという。藤井部長は「野澤さんが作成した作業オペレーションの手順書に従い、ITを構想している。ベンダー選定を含め野澤さんへの相談、アドバイスがあってこそできる」と、全幅の信頼を置いている。
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